2008年04月27日

読書端末「ワーズギア」の生産終了

松下電器・角川モバイル・東京放送の3社合弁で、ワーズギア(株)という電子書籍事業を行っています。ワーズギアのWebページを見ましたら、2008年3月27日付けで 読書端末ワーズギアが生産終了のお知らせが出ていました。

ワーズギアは、テキスト、ドットブック(.book)やXMDFという電子書籍フォーマットで電子書籍を閲覧できます。この他、クセロ製のPDF Viewerが載っていて、書籍をPDFで閲覧することもできるようになっていました。

ワーズギアPDFビューア発売のニュース

PDF版の書籍を使うにはPDF利用権(1,480円)を購入するというユニークな仕組みです。しかし、PDFで読むのに、読者がわざわざ1,480円を払わなければならない、というのは無理があったのではないでしょうか。

普通の人が、電子ブック端末で本を読むためだけのために、有償でPDFビューアの利用権を購入するとは思えません。もう少し魅力的なフレームワークを考えないといけないでしょう。

電子書籍ビジネスがだめとは思いませんが、それにしても、現実はなかなか難しいようです。

ご参考
電子書籍Wiki
  ○ハード紹介
    ○ワーズギア
    ○シグマブック

投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック

2006年02月15日

Foxit ReaderでもPDFの細い線は表示できない

2月13日のブログで、WindowsのGDIで細い線が表示できないと間違ったことを書いてしまいました。
※2月14日に訂正済。

これは、XSL Formatterの画面で、下のようにディスプレイの1ドットの幅よりも細い線が正しく表示できなかったので、WindowsのGDIの仕様(制限事項)なのかなと思ったわけです。実は、WindowsGDIの制限事項だと思ったのは、Formatterのみではなく、Foxit Readerという別のソフトでも確認してみたのですが、同じように細い線が正しく表示できていなかったからなのです。

PDFを表示するソフトといえば、AdobeReaderがもちろんダントツにポピュラーですが、それ以外にもPDFビューアはあります。その中で、コンパクトで高速なことで人気があるのが、このFoxit Readerです。

2月13日に紹介しました表示できない細い線のデータのファイルをPDF化し、他のソフトで表示できるかどうかを試してみたのですが。そうしますと、Adobe Readerは正しく表示できましたが、Foxit Readerでは細い線を正しく表示できていませんでした。

次の3つの画像をご覧ください。

図1 XSL Formatter V3.4 の画面
BitmapDisplay-Formatter.PNG
※ 2月13日に細い線を表示できないバグを修正する前の画面表示です。このバグは既に修正され、全ての線が表示できるようになっています。

図2 Foxit Reader の画面
BitmapDisplay-FoxitViewer.PNG
※Foxit Reader V1.3 Build 0930。細い線が正しく表示できていない!

図3 Adobe Acrobat6 の画面
BitmapDisplay-Acrobat.PNG

この3つを並べてみて、2つのソフトで表示できないのだから、このような細い線は正しく表示できないのがWindowsの仕様(制限事項)で、Acrobatは自分で線を太くして表示しているんだろうと思ってしまった訳です。

しかし、1ドットより細い線は1ドットに太らせて表示するのがGDIの仕様ということがわかりました。となりますと、Foxit Readerも細い線を正しく表示できないというバグがあるということになってしまいますね。

投稿者 koba : 08:00 | コメント (3) | トラックバック

2005年11月24日

消え去るType1フォント

Thomas PhinneyのTypblography, the Phinney-us Bloggによると、アドビシステムズはWindows Vistaが出荷される前にType1フォントのMacとWindows向けの小売ライセンスを終了する予定とのこと。最終決定ではないようですが、同社は、早めに情報を流して、ユーザに準備をしてもらおうと考えているようです。

Phasing out "PostScript" Type 1 fonts

このブログページはかなりの長文ですが、要約すると次の通りです。
①Type1フォントは、1980年代半ばにアドビシステムズが導入したアウトライン・フォントでPostScriptフォントとも呼ばれている。
②1996年にはAdobeとMicrosoftが共同開発したOpenTypeフォントを発表し、Type1フォントは技術的に古いものになった。
③アドビシステムズは、既に1999年に新しいType1フォントの開発を終了し、2000年からOpenTypeフォントを発売している。
④MicrosoftはWindowsの新しいグラフィックスとテキストシステムであるPresentation Foundation Engine(開発コード名Avaron)を開発した。このWinPFEではType1フォントをサポートしていない。
⑤Windows Vistaには、WinPFEと旧来のGDIの二つのグラフィックシステムが搭載される。GDIベースのアプリケーションでは、Type1フォントが引き続き使える。しかし、WinPFEベースのアプリケーションでは、Type1フォントはフォントのメニューにも表示されない。
⑥既にアドビシステムズのフォントの売上げは圧倒的にOpenTypeフォントになっており、Type1フォントの売上げはどんどん減っている。
⑦このようなことから、Type1フォントの販売を終了し、ユーザが早い時期にType1フォントからそれに対応するOpenTypeフォントに移行することを望んでいる。

VistaではGDIとWinPFEが両方使えても、10年、20年のスパンでみればWindowsからGDIがなくなる可能性があります。長期的に、同じ目的の二つのサブシステムを並行してサポートしていくのは、Microsoftといえども重荷でしょうからね。そうなるとType1フォントのラスタライザは、Windowsの機能としては提供されなくなります。

PDFファイルにフォントを埋め込めば、作成した環境と同じフォントが、表示したい環境になくても文字が見える、ということが売りです。しかし、肝心のType1フォントのラスタライザが存在しなければ、Type1フォントの文字を表示することができません。

この点、大丈夫なのでしょうか?このブログでは、
⑧アドビシステムズのアプリケーションはOSとは独立のフォント・エンジンをつかっているのでType1フォントはサポートできる。
⑨PDFに埋め込まれたType1フォントは、恐らく永久にサポートされるだろう。

とあります。どうやら、アドビシステムズのアプリケーションは、フォントのラスタライズをWindowsに依存しないで独自でやっているようです。そうしてAdobe Readerは、独自のフォント・ラスタライザを使っているので、WindowsからType1フォントのラスタライザがなくなっても大丈夫ということらしいですね。

しかし、やはり安全をみるためにもいくつかの代替手段が必要なように思います。そうでないと、ある時期から突然、膨大な量の(Type1フォントを埋め込んだ)PDFファイルを誰も読めなくなる日が来ないとも限りません。

ところで、この記事に匿名の人がかなり厳しく突っ込みを入れてます。そちらの議論も面白い。Thomas Phinneyは、Type1フォントのサポートを止める理由として、WinPFE用にType1フォントのラスタライザを開発する(新しく開発ではなく調整なんですが)のはとても大変。ラスタライザは上級の専門プログラマでないとできないので人手が足りなくて間に合わないんだ、という説明しているのです。

それに対して、匿名の人はそんなことはない、例えば、Type1からOpenType CFFに変換してサポートするのは既に行われているし、難しいことではないだろうと言っているのです。

既に蓄積されている膨大なType1フォント資産を考えると、簡単に切り捨てるのはどうなんでしょうね。私はこの匿名者の主張の方に一票を投じたいと思います。

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2005年10月22日

「自在眼9」 新発売!

アンテナハウスは11月下旬に、マルチ・ファイルビューア「自在眼9」を出荷開始します。「自在眼」は、ワープロ文書、表計算、プレゼンテーション、圧縮ファイルなどの内容を、それを作成したアプリケーションがなくても、画面に表示したり、他のファイル形式に変換したり、テキストをクリップボードにコピーして利用することができるツールとして人気があります。

詳しくは次のWebページでどうぞ:

http://www.antenna.co.jp/Jan/

ところで、「自在眼9」では、PDFの表示を根本的に新しくしました。AcrobatやAdobe Reader に依存しない独自のPDF 表示機能として、10月18日に紹介しましたPDF Viewer SDKを「自在眼9」に組み込んでいるんです。

これによって、いままでよりも高速・高精度でPDFファイルの表示、印刷、画像ファイル化ができるようになります。

また、ベクトル(線画)グラフィックスの標準仕様として普及しはじめたScalable Vector Graphics (SVG)を表示したり、SVGをPDFとして保存することもできます。

SVGは、Web関連の標準仕様を作成する団体W3Cが決めた、ベクトル(線画)グラフィックスの仕様です。最初に、これを決めるにあたって中心になったのはアドビシステムズの技術者達なんです。SVGとPDFはかなり類似の技術をベースにしていて、いわば、SVGはPDFの妹のようなものですね。

詳しい仕様は次のところにあります:
Scalable Vector Graphics (英語)

それから、話が戻りますが「自在眼9」の目玉機能として、表ビューアにMicrosoft Excel互換のグラフ機能を搭載するなど、Excelファイルの表示精度を大幅改善しています。

乞う、ご期待!

なお、 これに関連して、アンテナハウスから「自在眼9」、「リッチテキストPDF」を直販で購入した方には、抽選で20人に一人、全額キャッシュバック、という思い切ったキャンペーンを行ないます。

詳しくは、こちらをどうぞ。

全額キャッシュバック・キャンペーンは、11月1日から開始です。ぜひご参加ください!

投稿者 koba : 10:00 | コメント (0) | トラックバック

2005年10月18日

PDF Viewer SDK

PDFを表示するための部品として、PDF Viewer SDKを開発しました。

これは、アドビのPDF仕様に準拠するPDFファイルを読み込んで、Windowsの画面に表示する機能などをもつソフトウェア部品です。

これは、エンドユーザ向けではなく、主にPDFを電子文書の標準として使用するソリューションや、アプリケーションに組み込むためのものです。

詳しいことは、こちらでご覧ください。
http://www.antenna.co.jp/PDF/viewer/index.htm

ある場所で、この話をしましたら、「Acrobat Viewerがあるのに、なぜ、PDFを表示するソフトを開発することが必要なんですか?」と質問されました。

そこで、「PDF Viewer SDK の意義について」というWebページも作ってみました。
http://www.antenna.co.jp/PDF/reference/WhyPDFViewer.htm

PDFの表示ソフトっていうのは、完全なものを作るのは恐ろしく大変です。
アドビはすごいね。

しかし、我々にだってできるぞ!と思って挑戦したい。

投稿者 koba : 15:32 | コメント (0) | トラックバック