« 「書籍を簡単に制作する出版支援ソフトウェア」作者、天才プログラマに認定される | メイン | PDFによる情報保存の法的な有効性 (4) »

2008年05月07日

PDFによる情報保存の法的な有効性 (3)

2005年(平成17年)4月にe-文書法が施行されました。その後、3年を経過しましたが、民間企業での文書電子化はなかなか進んでいないということです。

2007年07月02日日本企業の文書デジタル化は、未だ、紙中心から変化なし など参照。

法令などで義務付けられている文書保存にPDFを安心して使えれば、PDFをもっと普及させることができるのではないかと考えて、少しずつ勉強しています。この成果をWebページに整理してみました。

文書の電磁的保存・長期保存について

PDF保存することで、法令で義務付けられた文書保存として認められるかどうかということについて、一番、単純明快なのは、法務省のようです。

法務省は平成7年に「商業帳簿の保存は紙でなければならないという商法上の規定はないという見解を出している。」(「電子帳簿の実務Q&A」による)そうです。しかし、会社法上は書類を10年保存しなければなりませんので、10年大丈夫なファイル形式が必要です。この観点からはPDFが最適と思います。

逆に、一番やっかいなのが、国税関係の帳簿と書類です。

国税関係の帳簿と書類は、企業内でももっとも量が多く、電子化によって大きなコスト削減効果が見込まれると見られます。

コスト削減効果が大きいのであれば、これを積極的に推進することで、企業の利益が増えるはずです。そうなれば、当然、税収が増えることが見込まれます。従って、国税官僚が真に優秀であれば、国税庁は電子化を積極的に推進することになるだろうと思います。

しかし、昨今は、帳簿と書類の電子化に関する国税のガードが固くて、なかなか進展しないと聞いています。国税官僚は、税収を増やすことにはあまり関心がないのかもしれません。

このガードを破るにはどうしたら良いでしょうか?

電子帳簿保存法では、帳簿については、「最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成する」ことが必要条件になっています。そうなると、もう会計システムなどのベンダに頑張ってもらうしかないように思います。

一方、書類については、突破口があると思います。それは、全ての書類をPDFで作成して電子取引をすることです。

紙の書類が入ってしまいますと、スキャナで電子化しなければならなくなり、税務署長の承認が必要です。そして承認を取り消されたらどうなるか、など不安要素も大きいようです。また電子署名やタイムスタンプが必要など、いろいろな要件が付加されてハードルが高くなっています。

しかし、すべての書類をPDFで作成して、例えば注文書や契約書などまで、PDFをメールに添付してやり取りすれば電子帳簿保存法の第10条により、これは電子取引となります。そうしますと、税務署長の許可の有無に関わらず、電磁的保存が義務付けられます。この場合は、許可じゃなくて、義務なんですね。この場合は義務なのですから承認取り消しはありえません。電子署名もタイムスタンプも不要です。(訂正:平成17年の改訂で、電子署名とタイムスタンプを付与するか、それとも、事務処理規定を作って備え付けるかのいづれかが必要となりました。)

これが一番手っ取り速そうに思えるのですが、如何でしょうか?

投稿者 koba : 2008年05月07日 08:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.antenna.co.jp/PDFTool/mt-tbng2.cgi/1048

コメント

コメントしてください




保存しますか?