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2008年05月08日

PDFによる情報保存の法的な有効性 (4)

○見積書、請求書などをPDFで作成して、取引先などとやり取りした場合、これは国税関係書類となるのでしょうか?

回答は、「国税関係書類とはならない」、と思われます。なぜかと言いますと、財務省の法令では書類とは、紙を原則としており、電磁的な文書は書類とは看做さないようです。もともと、電磁的な文書を書類と看做すのであれば、電子帳簿保存法自体が不要となります。

電子帳簿保存法は、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」ともいう通り、従来、紙を想定していた文書を電磁的に保存するための特例を決めているものです。

○では、見積書、請求書などをPDFでやり取りした場合、これを保存する必要はあるのでしょうか?

回答は、昨日もお話しましたように、これは電子取引と看做されますので「保存する義務がある」ことになります。

電子取引と看做されるものが何かは、法令解釈通達(平成17年改訂)において

(1) いわゆるEDI取引
(2) インターネット等による取引
(3) 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
(4) インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引

とされています。

従って、PDFで作成した見積書、請求書などを電子メールの添付ファイルとして送付した場合なども、保存義務があるということになります。

で、今日、その後もう少し読んでいましたら、電子帳簿保存法の2005年(平成17年)改正から、この義務を怠って保存しないと「青色申告取消し」になるという条文が追加されていることに気が付きました(第11条3項四、五号)。

平成10年時点では「青色申告取消し」規定はありませんでした。従って、平成17年改正で厳しい罰則が盛り込まれたことになります。ご注意ください。

それにしても、ここまでやるなら、法務省と同じように、保存方式として紙と電子ファイルを区別しなければよさそうなものです。

電子ファイルをやり取りしたら保存の義務がある。しかし、書類を自分で最初からコンピュータで作成している場合や、書類(紙)をスキャナで電子化した場合は、申請して承認を得る必要がある、というのはちょっと変ですね。

※法令をできるだけ注意深く読んでいるつもりですが、解釈の誤り、あるいは、見落としがあるかもしれません。実際の会計・税務処理にあたっては、会計士・税理士などとご相談の上お願いします。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (1) | トラックバック