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2008年05月21日

PDFによる情報保存の法的な有効性 (6) —会社法

会社法では、定款、株主総会議事録、取締役会議事録、会計帳簿、委員会議事録、清算株式会社の貸借対照表、質権に関する社債原簿、債権者集会議事録、などの主な書類を書面もしくは電磁的記録をもって作成することができるとされています。

○電磁的記録をもって作成した場合、「法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置」をとらなければなりません。

この方法は会社法施行規則第二百二十五条に「電子署名とする」と規定されています。そして電子署名の要件としては、次の2項が規定されています。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

○また、「電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの」の閲覧を可能としなければならない、とされています。

この方法は、「電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。」ということなので、ビューアまたはプリンタで印刷できることが必要となります。

以上から、会社法上はPDFで書類を作り、本人の証明書で電子署名をすれば法令上有効となると思います。

このほか会社法と会社法施行規則では、電子的な公告についても要件をさだめています。

「会社法」の概要 — 法務省
会社法施行規則 — 法務省令

こうしてみますと、会社法は、書面と電磁的な記録とを平等に並べて使用可能としているという点で、電子帳簿保存法や建築士法と比べると新しい体系になっています。

電子帳簿保存法や建築士法は、書面を前提としたうえで、一部で書面に代えて電磁的な記録を利用可能としており、具体的には省令で規制しています。このような法体系は、PDFのような紙の原本である電磁記録方式の普及が進むと、現実で起きていることとまったくかけ離れたものになってしまいます。
電子帳簿保存法や建築士法は、早晩、抜本的な改訂を行わないと法令によって社会の進歩が妨げられるという結果になるでしょう。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック