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2008年03月19日

もうひとつの未来への道 (2)

昨日の続きです。

23.Webベースアプリケーションの顧客は、個人や小さな会社。大企業は遅くなる。
24.セキュリティに関する反論がある。しかし、個別企業でセキュリティ管理するよりは、運営に特化したベンチャの方が安全だろう。
25.Webベースアプリケーションは、ITのアウトソースに相当するが、社内のシステム管理者に、競争の圧力を掛ける意味でも、アウトソースをするのが良いのではないか。
26.大企業にものを売り込むには、それだけでお金が掛かる。だから、イントラネット・ソフトは生き残る。
27.サーバでソフトを動かすのはメインフレーム時代からあった。しかし、デスクトップに変わったのは、小さな会社が新しいソフトを作ったからである。メインフレームでは固定費が高くてベンチャ企業はソフトを書けない。だからベンチャ企業はApple IIでソフトを書いた。

28.デスクトップ・コンピュータ時代は、新しいソフトウエアの台頭で成立した。例えば、VisiCalcがその例。
29.現代は、コンピュータが安くなり、サーバベース・ソフトウエアが有利だ。また、Webサイトがあればソフトが売れる。
30.デスクトップ・ソフトを書くのはつまらなくなっている。マイクロソフトの土俵に上がらねばならず、さらに、売れたら、マイクロソフトにとって代わられてしまう。Winowsは、ハッカーに人気がない。
31.Webベースアプリケーションは、ちょうど25年前のPCと同じ。
32.デスクトップPCのユーザがコンピュータを理解しなければならないのは、マイクロソフトの問題である。Webベースアプリケーションにはマイクロソフトの場所はない。マイクロソフトはかつてのIBMと同じになる。
33.しばらくの間、Webベースアプリケーションには支配者は現れないだろう。しかし、Webベースアプリケーションを作って運営するのは大変。開発者は机の下で眠らねければならず、責任も重くなる。デスクトップ・ソフトでは、開発者はリリースしたら休むことができるが、Webベースアプリケーションでは、ユーザが使い始めたら、リリースする前よりも大変になる。
34.WebページはUIとして貧弱だが、とりあえずは使える。これも昔のPCと同じだ。そして、どのブラウザでも使えるソフトはそれだけで大きな意味がある。
35.Webベースアプリケーションは、クライアントに関しては何も仮定しないので、Webが動作すればどこでも動作する。
36.クライアント側で次に何が起こるかは予測できない。しかし、ブラウザが使える限り、Webベースアプリケーションは生き残る。
36.安価に開発できて、もっとも小さなベンチャ企業でも公開できる。ユーザが気に入るものを作り、使った金より多くの収入が得られればやって行ける。
---ここまで---

Webベースアプリケーションで成功した先駆者の言葉らしく、開発者に挑戦を呼びかける結末になっています。デスクトップ・ソフトウエア業界は、マイクロソフトやアドビなど上位の企業に寡占化してきていますが、デスクトップPCからWebベースになって、新しいフロンティアが開けたということが良くわかります。

現在は、Paul Graham氏がこの話をしてから既に7年後となります。この間、Webベースアプリケーションが着実に増えているのは確かです。が、重厚長大なデスクトップアプリと、Webベースアプリケーションとのせめぎ合いはまだ決着が付いていないと思います。

今後はどうなるのでしょうか?AIRのようなRIAの登場で、また、少し、図式が変わるかも知れません。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック