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2008年03月18日

もうひとつの未来への道

たまたま、会社の中の論敵から、Paul Grahamの

もうひとつの未来への道 ---The Other Road Ahead
http://practical-scheme.net/trans/road-j.html

というのを紹介されたので、読んでみたところ、これは大変面白ものでした。

主題は一言で言いますと、「25年前、デスクトップ・コンピュータが登場して、それが主流になっていたが、今後はWebベースのアプリケーション:ASPが主流になるだろう。」ということですが、実際にベンチャ企業を立ち上げて、WebベースのViawebというショッピング・サイト用のサービス(Yahooに売却してYahoo Storeとなった)を作った人の話です。

2001年に行われた講演の記録ですので、主題は、いまでは、ありふれたもののように見えますし、もはや新しいとは言えませんが、やはり先駆者だけあって、さまざまなところに、教訓になりそうな鋭い洞察が盛り込まれています。

まだお読みになっていない方は、ぜひ、目を通されると良いと思います。

とりあえず、時間を節約したい人のために要旨をメモしておきます。

1.デスクトップ・コンピュータを持つと、いやが応でもその動作を学ばねばならない。しかし、普通のユーザにその動作を学ばせるのはおかしい。
2.Webベースアプリケーションは、Webサーバで走り、Webページをユーザ・インターフェイスにする。ソフトウエアを使うのにコンピュータを学ぶ必要はない。
3.純粋なWebベースアプリケーションに必要なのは、インターネットに接続されたWebブラウザだけあれば良い。
4.私のコンピュータという概念はなくなる。クライアントにデータを保存するべきではない。アプリケーションのインストールもしない。
5.複数のユーザから同時に使える。ディスクのクラッシュもないので、データはより安全。
6.開発者にとっては、Webベースのアプリケーションは、ひとつのコードの塊ではない。違ったタイプのプログラムの集合になる。
7.ハードウエアを追加することで新しい機能を追加できる。
8.望みのどんなコンピュータ言語でも使うことができる。
9.ソフトウエアのリリースは、爆発的なものではなく、段階的な変更の連続になる。時には、1日3~5回。ソフトウエアは徐々に連続的に変化する。
10.バージョン番号は、宣伝のために存在するだけで、意味が無くなる。
11.バグを手元で再現できる。小さな変更だけでリリースするので、複合バグが出にくくなる。バグが出ても新鮮なので解決しやすい。
12.関数的プログラミング手法を使いやすい。
13.サポートのやり方も変わる。ユーザからのフィードバックが大歓迎になる。
14.バグをその場で修正するので、サポート部門と開発者が密接になる。
15.ソフトウエアを直ちにリリースできるので、アイデアを直ぐ実装して反映できる。
16.信頼できる少数のプログラマしか必要としない。グループが小さくなればなるほど、開発の生産性が上がる。但し、プログラマがシステム管理者にもならないといけない。
17.全てのユーザが行う全ての振る舞いを観察することができる。ユーザを見ることで、設計上の指針も得られる。どこで困っているかも分かる。
18.サーバあたり何人のユーザをサポートできるかでコストが決まるので、効率が重要だ。
19.試用サイトでユーザを獲得する。試用サイトのユーザのクリックを調べて改善する。
20.サブスクリプション形式が自然な課金方法だ。
21.定常的な収益が得られる。海賊版も出ない。
22.ISPをリセラーとして販売するのは悪いアイデア。自分でサーバを管理すべきだ。それで、ソフトとハードを常に改良できる。
---続く--

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック