« 2007年12月20日 | メイン | 2007年12月22日 »

2007年12月21日

PDFの世界標準ISO 32000がISO標準になったら?(1)

PDF1.7をベースとした、ISO標準(ISO 32000)が来年(2008年)には、標準として認められることはほぼ間違いないと思います。そうなったとき、どんな変化が起きるのでしょうか?置きうるシナリオを考えて見ました。

1.PDF仕様の利用に関する正当性
ユーザは今まではPDFの仕様はアドビのものであり、従ってアドビ以外のPDFを使うことは、ある意味では、アドビの権利を侵害するかもしれないということを心配していたかもしれません。多くのユーザは、そこまで心配をしなくても、アドビのPDFが正統なものであり、多少価格が高くてもアドビの製品を買おうという決定を正当化するものだったと思います。

しかし、PDFの仕様がISO の標準として出版されれば、PDF仕様の利用に関してはこうした心配がなくなります。

このことは、ユーザがPDF製品を、心理的には、自由に選択することができるようになります。一方において、ユーザが自分自身の責任でPDF製品を評価して選択しなければならないことになるでしょう。

普通のユーザにとっては、自分の手で、PDF製品を評価して選択することなどは、あまりやりたくないことでしょうから、第三者の評価、推薦、場合によってはランク付けのようなものに需要が生まれるのではないかと思います。

2.PDF製品のメーカにとっての動機付け
PDF製品のメーカにとっては、いままでは、クローン製品のメーカという立場でしたが、今後は標準仕様をサポートするメーカということになり、PDF製品の供給に、大義名分が与えられますので、大きな動機付けになるでしょう。このことは、PDFをサポートするソフトウエア・メーカが、ますます増えることになり、メーカ間の競争もますます激しくなることは確かでしょう。

3.PDFが正しいかどうかの評価
現在、PDFが正しいものかどうかを評価する基準は、恐らくAdobe Readerで表示できるかどうか、どいうことが第一になっているだろうと思います。

これは、言ってみれば、Webページが正しいかどうかを、ブラウザで表示できるかどうかで評価しているようなものです。

しかし、Webページをブラウザで表示できるかどうかでその正しさを判定するのは、技術的には誤りです。本当は、Webページを記述するためのHTMLやXTHMLの定める文法に合致しているかどうかで評価しなければならないのです。

Webページの場合は、そういう妥当性を検証するツールやサービスはいくつかあります。

・W3CのHTM:/XHTML 検証サービス
Another HTML-lint

PDFについても同じように妥当性を検証するツールが必要なのですが、現在は、そういうものはないように思います。ISO標準になれば、当然に、そういうものが揃わなければならないと思います。誰がそろえるか?それが課題でしょうけれども。

投票をお願いいたします

投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック