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2007年12月16日

電子帳簿保存法 — 知っていますか?「見積書を全部保存しないといけない」ってこと

2007年07月04日 電子帳簿保存法で、成立しなかった取引の見積書保存義務に関する疑問について触れましたが、これについて、未だに疑問が解消できませんので、もう一度立ち返って調べて見たいと思いたちました。

まず、上のブログでお話しましたように、当日の国税担当官は、「取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他、これらに順ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写しを保存しなければならない」(法人税法施行規則第五十九条三項)と述べました。これについて、私が質問したところ、さらに、「成立しない取引の見積書も保存しなければいけない」と回答しました。

調べてみますと、これは、「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」という文書(次のURL)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/980528-2/01.htm

の第4章 電子取引 の(電磁的記録等により保存すべき取引情報)の10-1 法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存 に関わる解説(次のURL)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/050228/05.htm

を元にしているらしいです。実際に見てみますと、そこには、「(2) メッセージの交換過程で発生する訂正又は加除のデータの取扱い」という項目があります。この解説文章に次のようなくだりがあります。「この場合における訂正又は加除のデータとは、確定データに至る前の情報をいうのであるから、例えば、見積書の場合、前の見積り金額を変更して、新たな見積り金額として確定する場合には、各々の見積り金額が確定データとなるのであるから、最終的に合意に至った見積りデータのみを保存するのではなく、各々の見積りデータを保存することに留意する。」

ここでは、一連の電子的メッセージの遣り取りの中で、見積金額を訂正していった場合、最終的に合意した見積データだけでなく、各々の見積データを保存しなければならない、とあります。

この文章を読む限り、取引が成立したとして、その取引を成立させるためのメッセージを交換する過程で発生する見積データを前提に解説しているように思えます。

そうすると、この通達の解説文からは、冒頭にあげたような成立しなかった取引の見積書の保存義務があるという結論は導き出せそうもないように思います(!?)

そうしますと、平成19年6月29日付けの資料の中にある『平成16年度に定期的に行った国税庁とJIIMAやJBMIAなど関係4団体との協議会の中で、国税庁担当官から見積書を例に上げて、「採用されなかった見積書でも保存の義務があり、これを電子化した場合、検索できなければならない。採用しなかった見積書を電子化文書にして保存しない場合は、当該の見積書を受領した相手方に確実に返却しなければならない。」との説明を受けている。』という、この説明は、国税庁の担当官の拡大解釈・あるいは解釈ミスではないかと思いますが、どうなんでしょうね。

私としては、やはり、あの担当官の成立しなかった取引の見積書を保存しなければならないという回答は、一般論として言うならば、法令解釈のミスではないかとの感を強くしました。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック