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2007年12月10日
PDF vs Mars
昨日は、PDFとXPSの比較をご紹介しましたが、序に(といってはなんですが)、Marsの動向をチェックしておきましょう。
Marsについて公開されたのは、XML2006だったと思います。それから約1年経過した訳ですが、2007年11月にMars Reference 0.8が公開されています。このバージョン番号から言ってもまだ未完成です。
前回、2006年12月08日PDFのXMLフォーマットが登場!?でMarsを紹介しました。この時の仕様書は、0.7版でした。そうしますと、1年間で仕様書のバージョンが、0.1進んだことになります。
Marsは、XPSと同じくXMLベースです。アドビのMarsについてのフォーラムを読んでいますと、MarsはPDFと完全互換とし、PDFとMars間のラウンドトリップができることを目標にしているようです。
XPSは、例えばフォントについて言えば、昨日もありましたがType1フォントはサポートしていませんし、TrueTypeフォントさえもサポートしておらず、OpenTypeサポートに絞っているようです。
それに対して、PDFとMars間は、実用的に100%互換にするつもりなのでしょう。そうしますと、PDFとMarsの2つの仕様を保守していく意味があるのか?ということが当然ながら疑問になります。フォーラムでもその点質問がありますが、どうもこれに対しては、Marsは、XMLベースのワークフローへの統合というメリットを訴えています。
XMLベースになることで、データを取り出したり、新しい名前空間を使って独自のXML構造を埋め込んだりというような使い方が可能になるというのは確かにメリットを感じます。PDFにも、タグ付きPDFとか、XMPでメタデータを付けるなどの構造をいれる方法はありますけれども、やはりネイティブXMLの方がその辺は楽になると思います。
Marsの本体は、SVG1.1を独自拡張したものなので、SVGが進化していくとMarsとの関係がどうなるか、多少の疑問を感じますが、そのあたりSVG仕様の進化も遅いですから。
Dr. Macroのブログには、Marsが普及するまでに5年以上かかるとありました。
Adobe MARS: Looks Interesting (2006年12月)
もう1年経過した訳ですが、XMLベースになっているというメリットだけだと、現在のPDFを置き換えるだけのメリットとは言えません。仕様書が1年で漸く0.1バージョン・アップしたのみと言い、このペースだと、普及するのに5年じゃなく10年以上掛かる?
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