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2007年09月27日

著作権保護とPDFによる情報販売について(1)

現在、書籍、マニュアル、調査報告書、企業・団体年鑑類などについての販売は、紙から電子媒体に移行しているものと思います。

このような資料の電子媒体といえば、PDFが最有力候補です。しかし、PDFで情報を販売すると、一旦、販売した情報の複製を防ぐのはなかなか難しいものです。この問題で悩んでいる人は多いと思います。

話を聞きますと、PDFによる販売への取り組み姿勢は、大体、次のパターンになるようです。
1.情報を長いこと、印刷物として販売してきた会社は、紙からPDFへの移行に躊躇している会社が多いようです。それは、PDF化して販売すると複製されてしまうことから売上数量が減ってしまうかもしれないという懸念があるためのようです。

2.PDFによる資料の配布を他のビジネスの販売促進として位置づけている会社や、あるいは、新しく情報の販売を始めた会社は、比較的気軽にPDFによる販売を始めるようです。それは、前項の裏返しとも言える心理、すなわち、販促手段なので複製されても構わない、いままで紙の売上がなかったので、PDF販売が売上面のマイナス材料になる懸念がない、不正コピーは予め想定して価格をつける、などの心理が働いていると思います。

PDFの形式で販売した情報の不正利用(著作権者の意図しない利用)を防ぐための手段の一つに、PDFにパスワードでセキュリティを設定する方法があります。

これは、もうかなりの人が知っていると思いますが、話を聞いてみますと、このパスワード・セキュリティは、情報販売を行っている人たちの間では、あまり信頼されていないようです。PDFのパスワード・セキュリティを解除するソフトウェアもいくつか販売されているようですから、情報販売者における、PDFのパスワード・セキュリティへの不信感は理由のないことではありません。

PDFで情報を販売するにあたって、全く複製ができない、あるいは、一定の回数だけしか複製できない、あるいは、配布者が意図するように複製を制限したい、というセキュリティを設定できるようになれば、不正コピーの心配はなくなると考えられます。これによって、情報提供者側の懸念材料が小さくなり、電子媒体による情報の取引が活発になるだろうと予想できます。

紙に代わる電子媒体のデファクト標準と言えるPDFを情報販売用のメディアとして、どのような方法でセキュリティを付けたら良いか、ということはかなり大きな課題と思いますが、この課題は、最適解を見つけるのはなかなか難しいと思います。不正コピー対策を厳しくすればするほど、利用しにくくなり、却って需要が減ってしまうという懸念があるからです。

ちなみに、今日、配布されたキーリングPDFのメールニュースを見ましたら、「電子書店パピレ ス」の天谷幹夫 氏の発言の次のような引用がありました。「実は、著作権保護をかけると、かけないものの一割ぐらいにまで売上げが急落するものなのですが、キーリングPDFで著作権保護を かけた物の場合、売上げは約8割くらいの水準をキープしています。 」著作権保護を掛けると売上が一割ぐらいまで急落するとは、ちょっと驚く数字です。パピレスの場合は、コンシューマ向けの情報なので、利便性が非常に重要なポイントなのでしょうけれでも。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック