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2007年06月30日

PDFについてのQ&A — PDFのフォント埋め込みと著作権(続き)

昨日は、PDFへのフォント埋め込みは権利者の許可なく行うとフォントの著作権侵害となりますが、フォントベンダーによっては埋め込みを許可しているということをご説明しました。
アドビの場合は、埋め込みについては許可しているものが多いようです。

具体的には、こちらにライセンス契約書があります。
http://www.adobe.com/type/browser/legal/index.html

欧文フォント、和文フォントともフォント埋め込みに関する契約条項の文章は同じです。次のようになっています。
「お客様は、お客様の電子文書を印刷および閲覧するため、フォント・ソフトウェアのコピーをその文書に埋め込むことができます。埋め込むフォント・ソフトウェアがAdobeのウェブサイトhttp://www.adobe.com/type/browser/legal/embeddingeula.html で「編集可能な埋め込みのためのライセンス供与済」と指定されている場合は、さらに電子文書の編集の他の目的のためにもそのフォント・ソフトウェアのコピーを埋め込むことができます。」

フォント埋め込みの許可には次の段階があります。
(1)埋め込みを許可しない — アドビのフォントには埋め込みを許可しないフォントはありませんが、フォント・ベンダによっては許可していない場合もあります。
(2)表示と印刷 — フォントをPDFに埋め込んで配布し、表示したり印刷に使うことができますが、PDFを編集するのに用いたり、他のPDFを作成したりするのに用いることができません。アドビのフォントはこの分類が多いようです。
(3)編集可能 — 表示と印刷のほか、PDFの受け手がそのPDFの文書や構造を編集するに用いることができます。
(4)インストール可能 — 受け手がPDFに埋め込まれたフォントをPCにインストールして、新しいPDFを作成するのに用いることができます。これはPDFの受け手はフォントに関してオリジナルと同じ権利をもつことを意味しています。商業フォントではこの分類に属するフォントは少ないと思います。

さて、このようにフォントの埋め込みを許可したり、禁止したりするのは、フォントの権利者(ベンダ)の許諾事項となります。しかし、エンドユーザがフォントの使用許諾契約をチェックしたり、あるいは、権利者にいちいち確認するのは手間が掛かります。

これを自動的に行うために、TrueTypeやOpenTypeといった新しいフォントでは、フォントファイルのフォーマットの中に「埋め込み許可」に関する上記の(1)~(4)の分類情報がセットされるようになっています。

PDFを作成するソフトウエアは、この「埋め込み許可」の情報をチェックして、埋め込みするかどうかを判断することができます。

次の画面は、Antenna House PDF Driver V3.2の設定ダイヤログ「フォント」タブですが、Windowsにインストールされているフォントの一覧を表示するとき、埋め込みが禁止されているかどうかをチェックして鍵のマークで表示するようにしています。
20070630.PNG

比較的新しいフォントであれば、このようにプログラムで埋め込み許可状態をチェックできます。しかし、Type1のような古いフォントでは、こうしたフラグはありませんので、権利者が許可しているかどうかを個別に確認する必要があります。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック