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2007年02月26日
日本語組版はグリッドベースで行うと言って良いのか?(4)
日本語組版では、昨日お話しました、約物の詰め処理、あるいは、和欧文間の文字間隔など基本的な詰め処理や禁則処理などを行います。こうした結果、文字の配置は必ずしも、正方形の枠を並べた状態、すなわちグリッドにうまく入らないことが多くなります。
それにも関わらず、日本語組版はグリッドベースで行われる、と表現してしまうと、次のような問題が起こります。
約物の詰め処理や、禁則処理を説明したとたんに、「そうすると文字がグリッドからずれてしまうがどうするのか?」という疑問を引き起こしてしまいます。
これは、まさに、昨年のXSL-FO 2.0 の会議で経験したことです。
昨年10月18日のXSL-FO 2.0 の会議で、プレゼンテーションが終わったとたんに、グリッドベースと矛盾する、約物の詰め処理や、禁則処理をどうやって定義するのか?と質問の嵐になりました。
それだけではなく、10月19日のミーティングでもそのことをいろいろと説明を求められたわけです。
要するに、グリッドベースということで、縦横に引いた線に合わせて文字を配置する、と言うことを頭に思い浮かべるのに、その後で、詰め処理を説明すると、これは論理的に矛盾していることになりますので、聞いた方が混乱してしまうことになります。
これに類する話は、CSS3の仕様案にも盛り込まれています。CSS3のText Module(このモジュールの最新は、現在、Webには見当たりません。)の古いバージョンには、一見もっともらしい、次のような定義があります。
10. Document grid
10.1. What is document grid?
It is very common for the glyphs in documents written in East Asian languages, such as Chinese or Japanese, to be laid out on the page according to a specified one- or two-dimensional grid. The concept of grid can also be used in other, non-ideographic contexts such as Braille or monospaced layout.
(中国語や日本語のグリフは、ページの上に1次元または2次元で指定されたグリッドに従って配置するのが一般的である。)
原典:CSS3 Text Module W3C Candidate Recommendation 14 May 2003
そして、この文章の後ろの方には、JIS X4051的に見ますと、まったくでたらめな次のような文字配置が規定されています。
上の図は、厳密なグリッド・モードと言うらしいですが、これはグリッドを優先して和文をグリッドに合わせて配置し、和文と欧文の間隔は、和文文字用グリッド端と欧文の単語の始端・終端の間隔にすることになります。しかし、このような文字配置は、現実の日本語組版では決して行われないでしょう。この仕様は、日本語組版はグリッドベースで行われるという公理(!?)から、論理的に導き出されていると思われます。しかし、これは現実には適合していません。
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