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2007年01月10日

Windows Vista と日本語文字コード問題(6)

とりあえず、Microsoftの資料から、MSゴシックとMS明朝のバージョンアップについての概要をまとめてみます。

1.MS明朝、MSゴシックのバージョン

(1) Windows Vista用の標準搭載MS明朝、MSゴシックは、バージョン5.0
(2) 現行 Windows XP用の標準搭載MS明朝、MSゴシックは、バージョン2.3
(3) 次の2つのフォントパッケージが、無償提供される。
a.Windows XP SP2以上、Windows Server2003 SP1以上用のMS明朝、MSゴシックバージョン5.0
b. Windows Vista、Windows Server Longhorn向けMS明朝、MSゴシック、バージョン2.5
 
2.各フォント・パッケージの概要

(1) MS明朝、MSゴシック バージョン2.3 — 初版は1998年(?)。JIS X0208 6,355文字とJIS X0212の5,801文字 合計12,156文字、その他。
(2) MS明朝、MSゴシック バージョン2.5 — バージョン2.3に、JIS X0213:2004の追加文字とバージョン2.3のバグを修正したもの。字形の変更は行っていない。
(3) MS明朝、MSゴシック バージョン5.0 — JIS X0213:2004の文字セットをサポート。JIS X0208+X0212と重複しない文字を追加。Unicode 4.0の通貨記号を追加。さらに字形変更を行った。この中でJIS X0213:2004の例示字形に準拠するように字形を変更した122字形については、OpenTypeの'jp90'タグで旧字形にアクセス可能とした。(既定値では新字形、'jp90'タグで旧字形を取り出すことが可能)。

字形変更を行ったのは122字のみでなくもっと広範に行っているようです。

昨日指摘しましたように、バージョン5.0で字形を変更した部分が、以前のバージョンとの非互換なバージョンアップであって、印刷・DTP業界で混乱を引き起こす可能性があります。

OpenTypeについて詳しくない方は、OpenTypeの'jp90'タグと言っても理解できないかもしれませんが、OpenTypeは、フォントの様々な組版特性をアプリケーションから使用できるようになっています。これがタグ(正確にはfeature tag)ですが、様々なOpenTypeフォントで共通に付けるべきタグのほか、各フォント独自タグを自由に追加できます。Microsoftは自社開発したフォントに、様々な独自タグを付けていてUniscribeなどから使っています。こうした、フォントに内蔵する組版特性を利用すれば、フォントの特性を使った綺麗な組版ができます。

'jp90'タグは OpenType Layout tag registry に登録されて公開されてます。
http://www.microsoft.com/typography/otspec/features_fj.htm#jp90

これは、Registered by: Adobe でMicrosoft独自タグではないようです。

アプリケーションは'jp90'タグを使えば、MS明朝・ゴシックのバージョン5.0フォントの中から旧字形を取り出すことができるようです。このためには、アプリケーションの改造が必要です。念のために。

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投稿者 koba : 07:55 | コメント (0) | トラックバック