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2006年10月20日
W3C Print Symposium 2006 (3) XSL-FOとCSSの互換性
アンテナハウスは、XSL Formatterを海外でかなり販売しています。その経験だけで一般論を引き出すのは危険かもしれません。しかし、経験的に、W3C の勧告は、日本ではそれほど大きな影響力がないように思いますが、海外ではかなり大きな影響力があることを感じます。そんなこともあり、 XSL-FOとCSSの互換性についてもう少し考えたいと思います。
Webの印刷に関する標準仕様で、CSSとXSL-FOという二つの仕様があると言いました。もともとCSSは、印刷よりもWebページのコンテンツとレイアウト指定を分離することで、メンテナンスし易くしたり、アクセスし易くする、という趣旨で作られたと思います。XSL-FOはページ概念のあるメディアへの組版・印刷用と言う点で、当初は重複するという印象はありませんでした。
ところが、近年、CSSでページ概念をもつメディア(紙やPDF)に印刷し、CSSで本を作るなどを狙ってきたためにCSSとXSL-FOの境界が分かりにくく、両者が重複する部分が多くなりつつあります。
XSL-FOは、非常に高度な組版機能を持っていますので、組版機能の強力さで見れば、XSL-FOとCSSは比べものにならない、まあ、高級乗用車と軽乗用車以上の差があると思います。
ところが、実際のユーザの多くは、実はXSL-FOのそんなに高度な機能を使っている訳ではない様です。XSL-FOはドキュメントの自動組版という用途ですが、その分野で、高度な機能を必要とするXMLコンテンツを扱うユーザ層は限られます。実際のところ、Webページ的な内容を組版する用途でXSL-FOを使っている人が多いということになりますと、CSSで印刷機能が強化されれば、XSL-FOの市場と重複してきます。
その結果、CSSとXSL-FOのツールの競合が増え、競争は厳しくなるかもしれませんが、それはベンダにとっては、競争に勝つために努力するということですから、大きな問題ではありません。むしろ切磋琢磨することで、市場が大きくなり、ツールも良いものになるだろうと思います。
その結果、ユーザにとってはCSSとXSL-FOのツールを両方を使ったり、あるいは、一方から他方へ移行したいということになるケースが増えるでしょう。そういうとき、両方のツールに類似の機能があるが互換ではない、というケースがあるとユーザが不利益をこうむるということになります。まったく別の標準機関が提唱する仕様ならいざしらず、同じW3Cの提唱する仕様でそのような混乱が起きるのは好ましくない、ということになります。
結果的に、W3Cの仕様のステータスも下がってしまいます。ところが、CSSとXSL-FOの互換性は、総論ではともかく、各論になるとなかなか実現できないのですね。
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