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2006年05月25日
グーグル・クリック詐欺集団訴訟の和解案についての検討
5月21日に受け取った(グーグルの広告主全員に配布したと思われる)集団訴訟和解案について検討してみました。
まず、この集団訴訟では、2002年1月以降にグーグルからオンライン広告を購入した広告主全てが原告側に参加したことになります。原告側から除外されるためには、通知文を受け取ってから30日以内(消印有効)に下記の住所に自分を除外して欲しいという通知をする必要があります。
Google Settlement Opt Out
c/o Gilardi & Co. LLC
P.O. Box 808070
Petaluma, CA 94975-8070
もし、なにもしないと原告側に参加したことになりますので、今回の和解がどのようなかたちになるにせよ、和解の条件に縛られることになります。すなわち、端的に言いますと、今後グーグルに対して、クリック詐欺についてのクレームを出す権利を失うということです。
さて、今回の和解で一番大きな一人あたり利益を得るであろう人は原告側の弁護団です。原告側弁護団は、最低3千万ドル(約33億円)を得るとされています。
この多額の弁護団への報酬については、Click Settlementに用意されたFAQ(PDF)には書かれていません。
次に利益を得るのは、グーグルでしょう。和解金は最大9千万ドル(約100億円)であり、かつ、広告主への支払いは将来の広告支払額の50%以内のクレジット(割引といって良いと思います)で支払われますので、グーグルにとってはほとんど損失にならないでしょう。
広告主が得る金銭的利益は、和解基金から、弁護団への報酬と、裁判所の費用を除いた金額となります。個別の広告主へは、グーグルの広告収入に対する当該広告主の広告費の構成比で割り当てるようですので、1社あたりでは微々たる金額となるでしょう。
また、当社のように既にグーグルに見切りをつけてしまった広告主は、今回の和解で得るものはありません。
こう見てみますと、この和解案は、グーグルと集団訴訟の原告側の弁護団の間の八百長取引と考えても不思議はないように思います。本当に八百長かどうかは、実態を調べて見なければ判断できないと思いますが、しかし、原告側弁護団への3千万ドルの支払いはどう考えても大きすぎるように思います。
今回のケースでは6月20日までになにも言わなければ、その広告主は、自動的に原告側弁護団を信任したと看做されます。しかし、本来、原告側の弁護団が広告主を本当に代表しているかどうかは、何も言わなければ信任と看做すのではなく、信任投票を行って例えば50%の信任を得たら代表と看做す、あるいは、信任すると意思を表示した人だけを代表するものと看做す、という手続きを踏んで決めるべきことではないでしょうか。このように、私には、この和解手続も間違っているように思うのです。
しかし、反対意見を述べるのも原告側弁護団信任になります。当社の場合、どうやら、集団訴訟の適用除外を要求するしかなさそうです。そうして反対意見はブログで述べるしかないということかな。
投稿者 koba : 2006年05月25日 08:00
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