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2006年04月12日

オープンソースのビジネスモデル (16)

完全にボランティア・ベースのプロジェクトを起こすならともかく、優れたプログラムを開発して、世の中で大勢ユーザに喜んで使ってもらうことを目標に据えるならば、そのプロジェクトを継続するための資金をどうするかが大きな課題になります。

いままで調べてきました例で、オープンソース・プロジェクトの資金を獲得する方法として次のようなものが見られます。

(1) Apacheのように寄付金を募り、あるいは、企業からのボランティアに頼る。
(2) オープンソース・ライセンスと占有ライセンスのデュアルライセンス方式を採用する。
(3) RedHatのように、プログラムを商標権によって頒布制限する。
(4) W3Cのように会費制を取って開発する。できあがったものは、後で、オープンソースにする。

オープンソース・プロジェクトのビジネス・モデルを考える場合、どのようなライセンスを選ぶかは重要なポイントの一つです。一般的には、(2)のデュアルライセンス方式を選ぶケースが多いようです。PDF関係では、QhostScriptやXpdfがそうですが、この他に、欧米のオープンソースで成功している企業にはこのようなケースがよく見られます。

例えば、今、脚光を浴びているオープンソースDB MySQLはGPLと商用ライセンスのデュアルライセンス方式です。MySQLのライセンスの説明には、(1)MySQLを自己のアプリケーションと組み合わせて顧客に販売したり、(2)お客さんがMySQLをインストールして使うことを要求するアプリケーションを販売したり、(3)MySQLを組み込んだハードウェアを販売するのは、再頒布と看做し、MySQLの商用ライセンスを買わねばならないと書いてあります。
 
実は、いま、初めて、MySQLのライセンスの説明について読んでみたのですが、MySQLのライセンス説明のページには少し問題がありそうに思います。

本来、GPLと占有ライセンスは、矛盾するライセンスです。GPLは占有ライセンスと同時に頒布することを認めていません。ですので、GPLで頒布されるMySQLと、占有ライセンスのプログラムを一緒に頒布するとGPL違反になります。従って、MySQLの商用ライセンスが必要となります。これは分かります。

しかし、本来GPLは、頒布に関する条件ですので、ユーザが自社内で使う分にはどんな使い方をしようがGPL違反ではないはずです。そうなりますと、ユーザが、自己の判断で、例えば、アンテナハウスのXSL FormatterをMySQLと組み合わせてシステムを作っても問題はないと思います。

XSL Formatterは占有ライセンスですので、両社を組み合わせて販売したらGPL違反で、ユーザが自己の判断で組み合わせてシステムを作成したらGPL違反にならないということになるはずです。しかし、MySQLのライセンスの説明では、このあたりが曖昧に書かれているような印象を受けます。

いずれにしても、占有ライセンスのソフトウェア供給者は、GPLのMySQLをサポートすると表明すると、まずいことになりそうです。MySQL ABと商用ライセンス契約を交わせばもちろん問題ありません。

このように、デュアルライセンス方式には一種の胡散臭さが残ります。ひとつのソースプログラムを2種類、あるいはそれ以上のライセンスで頒布するというのは、潔くないと思うのですが(日本語では二枚舌と言いますね)。

投稿者 koba : 2006年04月12日 08:00

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