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2006年04月10日

オープンソースのビジネスモデル (14)

6.6 Apache: Apache Software License, Apache License, 2.0

(1)Apacheとは?
Apache Software Foundation (ASF)は、現在、もっとも広い範囲にわたるオープンソース・プロジェクトを運営している非営利団体です。

プロジェクト領域だけでも、HTTP Server, Ant, APR, Beehive, Cocoon, DB, Directory, Excalibur, Forrest, Geronimo, Gump, iBATIS, Incubator, Jackrabbit, Jakarta, James, Lenya, Logging, Lucene, Maven, MyFaces, Perl, Portals, SpamAssassin, Struts, TCL, Tomcat, Web Services, XML, XMLBeans, XML Graphicsの31があります。

例えば、XML Graphicsには、FOP(XMLからPDFなど)、Batik(SVG関係)のふたつの活動中のプロジェクトがあります。さらに新しいプロジェクトとして、Graphics Commonを計画しており、FOPのPDFライブラリーをGraphics Commonに移すことも検討しているようです。

このように各領域には一つ以上のプロジェクトがありますので、プロジェクト総数は100を超えると思います。ASFは、単にオープンソースのプロジェクトを集めているだけではなく、プロジェクトの活動についてASFの理事会で討議して一定の水準を保つ努力をしているようです。

毎年米国と欧州でApache Conという会議を継続して行っています。

米国歳入庁(IRS)への報告が公開されていますが、これを見ますと、収入は、1999年約45,000ドル、2000年約86,000ドル、2001年約1万ドルとなっています。2003年から2005年は2万5千ドル以下です。ASFには、コンピュータ・メーカからハードウェアやソフトウェアの寄贈があるようですが、これだけの大きな非営利団体の活動を、たった数百万円のキャッシュ・フローで支えることができるのでしょうか?これはなぞです。

(2) Apache License, Version 2.0
原文
日本語訳

このライセンスは、ASFの成果物を頒布するために用いられているものです。Apache Licenseで頒布されているプログラム及びその派生物を、そのソースプログラムであれ実行形式であれ、Apache Licenseを添付し、必要な通知文をつければ自由に頒布することができます。

BSD/MITライセンスに似ています。ASFに寄贈されたプログラムも対象とすること、寄贈者が保有する特許の許諾も含めること、など追加されています。

Apache Licenseはこのように寛容なライセンスであることから、ASFの成果物を改良し、自己の製品として販売しているソフトウェア会社も世界には沢山あるようです。

投稿者 koba : 2006年04月10日 08:00

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コメント

そうですね。

FOPの開発者のメーリングリストを読んでいますが、コミッタは7,8人いるように思います。その中で、フルタイムに近い作業時間を勤務先の会社から認められている人が1人だけ、他の人は、空いた時間に作業しているようです。いずれにしてもボランティア・ベースですね。

他のApacheプロジェクトはどうなのか分かりませんけど。

投稿者 koba : 2006年04月14日 20:12

実際に確かめたわけではないのですが、apache は、あの金額でも分かる通り、開発作業を寄付で賄っているわけではないと思います。寄付は、配布サーバやソースコードリポジトリを置くサーバのハードウェア代や回線量程度にしか使われてないのではないでしょうか? 開発行為自体は、ほぼボランティアに頼っている状態だと思います。
apache の場合は、勤務時間に apache の開発を行ない、その開発内容を apache プロジェクトに寄付することを、勤務先に認められている開発者もいるかもしれませんが。

投稿者 soda : 2006年04月14日 15:17

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