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2006年04月09日

オープンソースのビジネスモデル (13)

6.5 MPL:Mozilla Public License

原文(MPL1.1)
日本語訳

MPLはネットスケープ(Netscape Communications Corp.)が作成したものでネットスケープが改訂権を持っています。Mozillaプロジェクトで使われており、最近、脚光を浴びている新しいブラウザFireFoxはMPL1.1で公開されています。

歴史を簡単にまとめますと;

(1) Netscape Publicライセンス NPL 1.0
マイクロソフトのインターネット・エクスプローラとのブラウザ戦争で、劣勢になったネットスケープが、1998年にNetscape CommunicatorのソースプログラムをオープンソースしてMozillaプロジェクトを起こしました。

その時、作られて適用されたのがNetscape Publicライセンス(NPL1.0)です。NPL 1.0はGPLに似ていて、Mozillaのソースコードを入手したプログラマが、それを改良したアプリケーションを作成して頒布するときは、改良したソースコードを公開・寄贈することを要求していました。

NPL1.0はNetscape Communicator用の修正条項(Amendments)があります。ここで、ネットスケープは、公開・寄贈されたソースコードをネットスケープ自身の他の占有ライセンス製品にも自由に使うことができるとした上、それらの占有ライセンス製品はNPL1.0で公開しなくても良い、というネットスケープに都合の良い条件をつけたことです。これはオープンソース関係者からの批判を招いたようです。

ちなみに、Netscape Communicatorのソースプログラムは複雑すぎて改良できないことが判明し、Mozillaブラウザはゼロから書き直す、ということになりました。Mozillaプロジェクトは失敗したオープンソース・プロジェクトと言えるでしょう。

(2) Mozilla Public License (MPL) 1.0
Mozilla Public License1.0は、NPL1.0にあるネットスケープ専用の修正条項を削除したものです。Mozillaのソースコードを修正した寄贈者が使うためのライセンスです。

(3) Mozilla Public License (MPL) 1.1
MPL1.0の表現を改訂したもので、実質的な変更はないように思います。

(4) MPLの特長
MPLの特長は、次の通りです。

・オリジナルのソースプログラムを修正してアプリケーションに使用した場合、その修正したプログラムをMPLで公開する必要があります
GPLと違って伝染性はありません。自分でゼロから書き起こしたプログラムは、修正プログラムには該当しません。仮にそれをMPLのプログラムと結合したアプリケーションを作成して頒布しても、自分のソースプログラムを公開することは要求されていません。

MPLは、Copyleftという点では、GPLとBSD/MITライセンスの中間のライセンスということができます。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック