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2006年04月27日

PDFとフォント(18) TrueType

次はTrueTypeです。今は、TrueTypeと言いますと、Microsoft Windowsに標準搭載のフォント技術という印象があります。しかし、TrueTypeフォント技術は、もともとAppleがOSレベルで拡大・縮小可能なフォントを実現しようとして開発を始めたものです。Microsoftは別途TrueImageという技術を開発していました。

TrueImage
これを見ますと、TrueImageは、Cal BauerとBauer Enterprisesが開発して、1989年にMicrosoftが買収した、PostScript互換のインタープリタとされています。

Microsoftとアップルは、TrueImageとTrueTypeをクロスライセンスして、TrueTypeがWindowsで使えるようになったのだそうです。

TrueImageは、PostScript互換のプリンタ用に商品化されましたが、結局あまり成功することなく終わってしまいました。

現在、Webで検索しますと、TrueImageは、他の会社の何の関係もない(?)製品名になってます。こうして見ますと、なんとなくアップルは庇を貸して母屋を取られたのではないかという印象がありますね。

このあたりの経緯は、JAGATの研究会の報告にも見られます。
アドビの最初のつまずき : 1989年

TrueTypeとType1のアウトラインデータの形式の特性、ラスタライザの性能特性などのグリフのデザインとその可視化の技術的な優劣については、いろいろな議論があるようです。この点はまた、別途、機会をみて検討してみたいと思います。

TrueTypeフォントのファイル形式としての特長をまとめますと、次のようなことになると思います。
・Type1フォント形式と違い、アウトライン情報とメトリック情報はひとつのファイルに収容されている。
・アップルのMacintosh System7.0 とWindows3.1以降のOSに、TrueTypeラスタライザが標準で搭載されていてOSレベルでサポートされている。この点で、Type1はPostScriptプリンタという高品位印刷の領域から始まったのと違い、TrueTypeは最初から非常にポピュラーな存在である。
・Microsoft Windowsには、多数のTrueTypeフォントファイルがバンドルされている。このファイルの拡張子は、.TTF、と.TTCがある。.TTCは、True Type Collectionの略でひとつのフォントファイルに複数のフォントを含んでいるもの。CJKフォントにこの形式が見られる。例えば、MS明朝とMS P明朝がひとつのフォントファイルにまとめられていたり、MSゴシックとMS Pゴシックがひとつのフォントファイルまとめられているなど。

※参考資料
A History of TrueType
Microsoft Typography TrueType

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック