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2006年03月06日

アドビのマルチ・プラットフォーム作戦の行方 Linuxを買収?

アドビのCEO Bruce Chizen のWhartonインタビュー読めば読むほど面白い。アドビは、幾つかの事業をもっているのですが、Bruce は、その一つとしてengagement platform構想について熱く語っています。

このアドビのengagement platform構想を追求していくと、恐らくLinuxをどれか買収しなければ済まないのではないか?という気がします。

以下は、私の妄想ですので、そう思って気楽に読んでください。間違っても、どこかのLinuxベンダの株を買いに走ったりしないように。Linux株で損しても、私は一切責任をもちませんから。

まず、アドビがMacromediaを買収した最大の目的はFlashだ、と述べています。そうして、FlashとPDFを組み合わせて、マルチプラット・フォームで表示系を抑えるということを狙っているようです。

engagement platformで、Windows、Macintosh、SunなどのPCまたはワークステーションなどのコンピュータ系だけではなく、携帯電話のようなモバイル機器、自動車、あるいは、eBookなどの読書端末までをカバーしようとしています。インタビューでは、後者をmini engagement platformとしています。

まず、コンピュータ系の世界で考えますと、Bruceの発言でもありますが、アドビのengagement platformは、Microsoftが支配するWindowsの世界では、それ程大きな価値はありません。Windows以外のコンピュータが増えないと価値が大きくならないのです。

さらに、engagement platformは表示用途ですので、サーバ・コンピュータ用ではなく、デスクトップ・コンピュータ用となります。ところで、いま、注目を集めているLinuxはサーバ用途では普及が進んでいますが、デスクトップ用途ではなかなか普及が進みません。なぜかと言いますと、デスクトップではマンマシン・インターフェイスであるグラフィック・ユーザ・インターフェイス(GUI)が重要なのですが、LinuxOSにはWindowsのような優れたGUIシステムがないからです。そうするとengagement platformの価値を増大するには、LinuxOSにWindowsシステムを構築するという大掛かりな投資が必要となります。従って、これをどうするかがアドビの次の課題ということになります。

mini engagement platformについていえば、例えば日本の携帯電話のOSは、一時はTronが主流でした。しかし、Tronは減っていると思います。世界的に見ますと米国Qualcom社のBrew、英国シンビアン社のSymbianOSを見逃すことができません。最近はLinuxを組み込んだ携帯電話も増えています。
「2005年度は1000万台近いLinux搭載3G携帯を出荷する」---NTTドコモ 照沼和明氏

アドビのPDFは一部の携帯電話に載っていますが、あまりメジャーな存在にはなっていません。Flashを欲しかった最大の理由は、恐らく携帯電話への取り組みの遅れを取り戻したかったことが大きな動機になっていると思います。そうすると、mini engagement platformの分野でMicrosoftを出し抜くための、アドビの次の一手は組み込みLinuxを手に入れる、ということになりそうです。

どっちにしてもLinuxだ!

投稿者 koba : 2006年03月06日 08:00

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