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2006年03月29日

オープンソースのビジネスモデル (2)

PDFのオープンソース・プロジェクトの中で、現在の時点で一番うまくいったのは、PDFLibでしょう。PDFLibはオープンソースから初めましたが、既にオープンソースを卒業してしまったようです。成功した例が既にオープンソース・プロジェクトでない、というのは皮肉です。

改めてPDFLibのWebページを見ましたが、現在では、PDFLib Liteのみが、オープンソース開発者、私的利用者、研究者向けに限りオープンソース・ライセンスで提供されています。他の製品はすべて商用ライセンスを有償で購入する必要があります。

PDFLib Liteのライセンスページ
http://www.pdflib.com/purchase/license-lite.html

ちなみに、いま盛んに宣伝されているLinuxで、もっとも成功したのはRedHatだろうと思います。RedHat Linuxはオープンソースからスタートしたかもしれませんが、現在はRedHat Linuxをオープンソース・プロジェクトに分類するのは不適切なように思います。PDFLibと同じように、RedHat Linuxは極一部だけ、オープンソースで提供しているように思います。

このふたつの例をもって、オープンソース・プロジェクトは成功するとオープンソースでなくなる、といったら言い過ぎかもしれません。しかし、多少なりとも大きなプロジェクトにして、品質の高い製品を継続的に出していこうとすれば、どうしても対価を得る必要があります。そのためには対価と交換に製品を提供するという仕組みをとるのが一番単純明快のように思います。

元に戻りますが、PDFLibのWebページを見ますと、現在では、PDFLibは同名の会社名となり、PDFLibはバージョン6、製品の種類も増えて世界の60カ国以上に製品を販売していると言っています。いくらインターネットを通じてオンライン・ダウンロード販売できると言っても、世界60カ国はなかなかすごいと思います。

PDFLibの成功の要因は次のようなことでしょう。
(1) サーバサイドPDFへの取り組みが早かった。
(2) 書籍などでPRして有名になった。
(3) 開発者のPDFに関する知識のレベルが優れていた。
(4) プログラムの品質が高い。

しかし、この成功の条件はオープンソースとあまり関係ありませんね。PDFLibの成功にはオープンソースで始めたことはあまり関係ないのではないでしょうか。

他には、ReportLabも結構長期間に渡って頑張っています。ReportLabは、商用ライセンスとオープンソース・ライセンス(OSL)の両方を用意して、ユーザがどちらかを選択するデュアルライセンス方式を取っています。

このデュアルライセンス方式は、オープンソースのビジネスモデルの一つです。
ReportLabは、商用ライセンスの製品では、OSLの製品と比べて、製品の種類を増やしています。また、利益源になる製品は商用ライセンスしか提供していません。このあたり、PDFLibやRedHat Linuxと似ています。

結局、オープンソースから商用ライセンスに向かうというところに成功への道が一つあるように思います。

2006/3/30追記 sodaさんのご指摘の通り、RedHat Linuxの中核部分のソースは公開されているようです。公開部分が全体のどの位の割合になるか分かりませんが、RedHatのビジネスモデルがPDFLibと同じと分類するのは不適切でした。RedHatの課金方法は、一見、商用ライセンスと似ていますが、商用ライセンスに向かっていると分類はできないようです。

なお、3月28日に2006年2月度のRedHatの決算が発表されています。
Red Hat Reports Fiscal Fourth Quarter and Fiscal Year 2006 Results
売上高   2億78百万ドル 前年比53%増
営業利益    58百万ドル 前年比165%増

というすばらしい業績です。但し、まだ多額の累積損失が残っていて、自己資本比率は30%台なので優良企業というにはあと数年掛かるように思います。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (6) | トラックバック