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2006年03月14日
PDFとフォント(4) 和文フォントのフォントファミリー
昨日は、欧文フォントのフォントファミリーはNormal、Italic、Bold、Bold Italicの4種類で構成されているものが多いようだ、と言いました。
それでは、和文フォントはどうでしょうか?Windowsについている最もポピュラーなフォントである、MS明朝やMSゴシックは1種類しかありませんからファミリーにはなっていません。
日本規格協会の文字フォント開発・普及センターが開発した平成明朝体、平成ゴシック体というフォントはいろいろなフォント・ベンダが商品化しています。現在ではかなり普及したフォントになっていると思います。
このフォントは、ウエイトについてファミリー化されています。アドビが商品化した平成明朝体、平成角ゴシック体、平成丸ゴシック体のフォント名とフォントファミリー名を見ますと次の表のようになっています。
いずれも、OpenTypeフォント、PostScriptアウトライン形式。
1.平成明朝体 (アドビ)のフォント名とフォントファミリー名
ファイル名 | Font Name | Font Family Name |
---|---|---|
HeiseiMinStd-W3 | HeiseiMinStd-W3 | 平成明朝 Std W3 |
HeiseiMinStd-W5 | HeiseiMinStd-W5 | 平成明朝 Std W5 |
HeiseiMinStd-W7 | HeiseiMinStd-W7 | 平成明朝 Std W7 |
HeiseiMinStd-W9 | HeiseiMinStd-W9 | 平成明朝 Std W9 |
2.平成角ゴシック体 (アドビ)のフォント名とフォントファミリー名
ファイル名 | Font Name | Font Family Name |
---|---|---|
HeiseiKakuGoStd-W3 | HeiseiKakuGoStd-W3 | 平成角ゴシック Std W3 |
HeiseiKakuGoStd-W5 | HeiseiKakuGoStd-W5 | 平成角ゴシック Std W5 |
HeiseiKakuGoStd-W7 | HeiseiKakuGoStd-W7 | 平成角ゴシック Std W7 |
HeiseiKakuGoStd-W9 | HeiseiKakuGoStd-W9 | 平成角ゴシック Std W9 |
3.平成丸ゴシック体 (アドビ)のフォント名とフォントファミリー名
ファイル名 | Font Name | Font Family Name |
---|---|---|
HeiseiMaruGoStd-W4 | HeiseiMaruGoStd-W4 | 平成丸ゴシック Std W4 |
HeiseiMaruGoStd-W8 | HeiseiMaruGoStd-W8 | 平成丸ゴシック Std W8 |
この3つの表を見ますと、フォントファミリー名のところにフォントのウエイトの名前が付加されているため全てのフォントがひとつづつ別のフォントファミリー名になってしまっています。つまり意匠上はファミリーであっても、OpenType仕様上でのファミリーになっていません。
このようになっていると、CSS2の font-family、font-weightでプロパティを指定してフォントを選択するというメカニズムを適用することができません。
フォントファミリーということを意匠・書体面の概念としてのみ捉えるのではなく、CSS2などに対応するブラウザで使うための技術仕様であるfont-familyとして捉えるのであれば、OpenType仕様で定めるFont family nameの項目には同一のファミリー名を設定しておかないといけないのではないでしょうか?
[2006/3/15 一部削除]
ザキンコ さんのご指摘により削除しました。詳細は、コメントをご覧ください。
[2006/3/15 追記]
ttfext.exeでFont Family Nameを見ますと、次の画面のようになっています。上の表の通りなのです。しかし、ザキンコ さんのご指摘のように、アドビの平成フォントは、別の箇所に、優先Font Family Nameを持っています。ttfext.exeの表示が不十分ということのようです。この点につきまして調査結果を、3月16日のブログで詳しく説明したいと思います。