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2006年03月11日
PDFとフォント(1) 書体、グリフ、フォント
次に、PDFのための必須の技術の中で、フォントについて説明してみたいと思います。私は、フォントについては、少しかじったくらいであまり詳しくありませんので、いろいろ調べながらできるだけまとめてみたいと思っています。間違いがありましたらご指摘いただければ幸いです。
フォントとはなにかということを簡単に整理してみたいと思います。ちょっと古くなりますが、日経バイトの1994年2月号(pp.247~260)のバイト・セミナーに沼尾 禮子・林 隆男氏の連名で「フォント関連用語を正しく理解する」という記事が掲載されました。
その記事では、書体とフォントを区別して次のように定義しています。
(1) 書体は「一連の文字や記号の1セットに対し、印刷や表示のために、美観などのコンセプトに基づいて統一的に施された意匠デザイン」。
(2) フォントは「同一書体を元にして作られた、すべてのファミリ、変形、サイズを含む一連の文字・記号の1セット」。
(3) 書体は抽象的概念で、それを具象化したのがフォントである。
次に、TR X 0003:2000 フォント情報処理用語の関連部分の定義を見てみますと、次のようになっています。
(1) 書体(type face)「表示などに使用するため、統一的なコンセプトに基づいて作成された、一組の文字などの意匠」
(2) フォント(font)「ある書体でデザインされた字形の集合」
(3) グリフ(glyph)「文字の可視化表現またはその構成部分から大きさ及び意匠を正規化した抽象表現(JIS X4161 ISO/IEC 10036)」
JIS X4161-1993 (pp.2-3)では次のようになっています。
(1) グリフ(glyph)「個々のデザインの違いを除去した認知可能な抽象的図記号」
(2) フォント(font)「基本デザインが同一であるグリフ像の集合」
さて、このブログでは、過去にグリフについて、
2006年01月13日 PDFと文字(22) – グリフとグリフセットで検討しました。そこでは、グリフとは、「文字を可視化した形状である」というPDF Referenceの定義に従うことにしました。
グリフとは抽象的なものか、それとも可視化した具象図形かという点に少し違いがありますが、概ね、次のようにまとめることができそうです。
・グリフとは文字を可視化した形状である。但し、リガチャのように複数の文字の連続を別の形状にして可視化する場合、複数の文字がひとつのグリフになり、アラビア文字のようにひとつの文字が複数(4つ)のグリフをもつものもあります。ですので文字とグリフは1対1対応とは限りません。
・書体とは意匠デザイン
・フォントとは、書体が同じグリフを集めたもの。
しかし、この定義は、大雑把過ぎて、実際に使うとなるとあまり役に立たないでしょう。次回、さらに、もう少し詳しく見てみたいと思います。
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