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2006年03月08日

SVGの行方は谷間のゆり ?

アンテナハウスの提携先でいつも中国語講座をしていただいている田中先生のすぐ話せて書ける“痛快中国語講座”

ここに、次のような絵があります。
VRM-IE.PNG

上の絵は、マイクロソフトのInternetExplorerで表示したものです。ところが、これをFireFoxで表示すると次のようになってしまいます。折角のイラストの部分が脱落してしまった状態で、正しく表示されていません。

VRM-Firefox.PNG

この理由は、脱落する部分の画像がVML (Vector Markup language) というMicrosoft独自のベクトル画像(線画)形式で記述されているためです。VMLはFireFoxのようなブラウザでは表示することはできないので壊れた画像の絵がでてしまいます。

画像形式を大別すると、イメージ画像とベクトル画像に分かれます。このうち、ベクトル画像の標準形式としてW3Cが策定したのがSVG (Scalable Vector Graphics) なのです。

インターネットの線画標準の策定過程で、VMLはもともとW3CにWebの標準仕様案として、Microsoft、HP、AutoDesk、Visioの技術者の連名で1998年に提案されました。
Vector Markup Language (VML)

ところが、一方で、アドビシステムズ、IBM、Sun、Netscapeの技術者が、Precision Graphics Markup Language (PGML)という仕様案を提案してます。

このような2つの対立する提案の結果として生まれたのがSVGと言うわけです。このためかどうか、SVGはMicrosoftにはまったく見向きもされていません。MicrosoftはOfficeを初めFrontPageのようなWebページ・デザインソフトでも、依然としてVMLを使っています。しかし、VMLは標準仕様とは言えません。

一方のブラウザで正しく表示できるものが、他方のブラウザで正しく表示できないという問題は、このインターネットの標準を巡る2大陣営の戦いの帰結ということができます。

一方、SVGは、FireFoxでかなり(完全ではない)表示できますが、FireFoxのシェアはわずか5%内外でしょう。また、IEでもアドビのSVGビューアがインストールされていれば表示できます。そういう意味ではかなり普及していると言えるかもしれませんが、圧倒的なシェアをもつMicrosoft系のアプリケーションに無視されているということでは、標準仕様としては弱いでしょう。

そうして、昨日お話しましたように、アドビもあまり関心をもっていないということになりますと、まさに、SVGの将来は谷間のゆりになってしまうかもしれません。

インターネットにおける線画の表現形式の標準が普及していない、というのはユーザにとっては不幸なことではあります。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック