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2006年02月11日
PDFと文字 (43) – ラテンアルファベットのリガチャ
さて、2006年01月26日 PDFと文字 (33) – ラテンアルファベットで、Unicodeのラテンアルファベット・ブロックを取り上げてから、結合ダイアクリティカルマークの検討に随分とお話の回数をかけてしまいました。
次にラテンアルファベットのリガチャについて検討してみましょう。リガチャについては、アラビア文字の時にも紹介しましたが、2つ以上の文字の組み合わせが出現するとき、文字のデザイン上の配慮から、二つ以上の文字を合成した別の形状のグリフに置き換えるものです。
2006年01月23日 PDFと文字 (31) – リガチャを参照。
ラテンアルファベットのリガチャはUnicodeでは次にコードポイントが与えられています。
・ラテンリガチャ:U+FB00-U+FB06 コードチャート
このブロックではラテンアルファベットのリガチャは次の7文字になっています。
U+FB00:ff
U+FB01:fi
U+FB02:fl
U+FB03:ffi
U+FB04:ffl
U+FB05:ft
U+FB06:st
次の図は、AGaramond、Paratino Linotype, Minion Proの3つのフォント・ファミリーについて、リガチャなしの文字の組とU+FB00~U+FB06を対比させたものです。AGaramondのようなType1のフォントは、U+FB01、U+FB02しかグリフがないことが分かります。他のフォントでもU+FB02については、fとlの2文字の配置とわずかな相違しかありません。
Wikipedia(英文)のリガチャの説明を見ますと、もっと他にも挙げています。例えば、次の文字は、Wikipediaではリガチャとされていますし、Unicodeでも文字の名前にリガチャという文字を含んでいます。
U+00C6:Æ Latin capital ligature AE
U+00E6:æ Latin small ligature ae
U+0132:IJ Latin capital ligature IJ
U+0133:ij Latin small ligature ij
U+0152:Œ Latin capital ligature OE
U+0153:œ Latin small ligature oe
次の文字は、文字の起源はリガチャとされていますが、Unicodeの文字名ではリガチャという名前は付いていません。
U+0028:& Ampersand (文字の起源はEtのリガチャ)
U+00DF:ß Latin small letter sharp s (文字の起源は、ſ Latin small letter long s とsのリガチャ)
この他、ラテン拡張Bには、クロアチア文字としてラテンアルファベット2文字を組み合わせて1文字にした文字があります。
U+01C4~U+01CC
この他に、2文字を組み合わせて1文字にしたものが幾つかあります。これらの2文字のセットにコードポイントを与えた文字とリガチャはどのような関係なのでしょうか?両者の境界が曖昧なようにも思います。
リガチャについては、2つの文字が1行に入りきらない時は、必ずしも合成形に置き換えないこともありますので、本質的には文字コードというよりは、特別な表示形と言うべきでしょう。
また、これらのリガチャの形状の中には、Unicodeで互換分解マップが与えられているものがあります。(2006年01月30日 PDFと文字 (37) – 結合文字列の正規合成の分解可能な文字の説明を参照。)
これらの互換分解マップが与えられる文字は、例えば検索では、互換分解した文字列でヒットさせることが望まれるのだろうと思います。この点から見ても、ひとつの文字として扱うものではないということになります。