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2006年01月15日

PDFと文字 (23) – Adobe-Japan1

Adobe-Japan1とは日本語表記に使う文字のグリフを集めて、各グリフを識別するCIDという認識番号を付けたものです。

0から6までの版があり、版数が大きくなるに従い、新しいグリフが追加されます。最新のAdobe-Japan1-6には、合計23,058種類のグリフを集めています。

各版に追加されたグリフの概要は次の表の通りです。

領域 CID範囲 Adobe-Japan1のセット 説明
セクション3 0~8283 Adobe-Japan1-0 JIS X 0208 1978と1983、JIS X 0201-1997、アップル、富士通、NECの文字セット。
セクション4 8284~8358 セクション3~4でAdobe-Japan1-1になる マッキントッシュの漢字Talk7.1用文字、JIS X0208-1990、富士通とNECが追加したグリフなど。
セクション5 8359-8719 セクション3~5でAdobe-Japan1-2になる Windows3.1J用のグリフを追加。
セクション6 8720~9353 セクション3~6でAdobe-Japan1-3になる 半角とプロポーショナルグリフの回転済のもの。
セクション7 9354~15443 セクション3~7でAdobe-Japan1-4になる 専門的、商業印刷に使うグリフを追加
セクション8 15444~20316 セクション3~8でAdobe-Japan1-5になる JIS X 0213:2004標準を完全にサポートするためのグリフを追加
セクション9 20317~23057 セクション3~9でAdobe-Japan1-6になる JIS X 0212-1990、共同通信のU-PRESS文字集合をサポートするためのグリフを追加

Adobe-Japan1-6 Character Collections for CID Keyed Fonts, Technical Note #5078, 11 June 2004 (PDF)

Adobe-Japan1-6の仕様書の名称は、「Adobe-Japan1-6 Character Collection for CID Keyed Fonts」と言います。名前から想像すると、もともとCIDフォントの開発者向けに用意されたものと思います。しかし、CIDフォントは既に古いものになり、新しいOpenTypeフォントにとって変わられつつあります。従って、現時点でのAdobe-Japan1の役割は、OpenTypeフォント開発者向けのグリフ一覧表ということになります。

なお、Adobe-Japan2というJIS X 0212用グリフセットもありましたが、Adobe-Japan1-6のセクション9に吸収されて廃止されました。

Adobe-Japan1は、例えば、セクション3に90度回転済の半角文字のグリフが収容されていたり、セクション4にも回転済みのグリフが収容されています。これらはOpenTypeフォントにおける縦書用のグリフを提供するものです。

また、セクション7には商業印刷用の漢字と異形字(kanji variants)が2,124個収容されています。
※Adobe-Japan1-6 Character Collection for CID-Keyed Fonts p.96

これらの回転済みのグリフはもちろんのこと、漢字の異形字にはJISやUnicodeで規定されていないものを含んでいますが、これらはOpenTypeフォントでないと使うことができないとされています。

なお、小形克宏の「文字の海、ビットの舟」――文字コードが私たちに問いかけるもの 特別編26では、「まず「文字の形」から集め、次に文字コード規格と対応づける」と述べていますが、Adobe-Japan1は、まさしく文字の形をあつめたものに相当することになります。このようにアドビシステムズは、各種の国内標準規格や、主要なメーカ、ユーザが必要とする文字のグリフを集めてこれにCIDという番号をつけてフォントの開発者向けに提供しているわけです。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (2) | トラックバック