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2005年11月16日

EPS(Encapsulated PostScript)

さて、EPSという言葉が、11月14日11月15日と2日連続で出てきました。

EPSは、PostScriptを使わないでPDFを作る技術の、恐らく一番の泣き所です。

EPSという言葉は、グラフィックス・デザイナーやDTPの仕事をしている人なら良く知っている言葉なので、今更、説明することもないようなものですが、その仕組みを知らない人が意外に多いようです。XSL Formatterの技術サポートへの質問は、EPS関係の問題が時々あります。

アドビシステムズのIllustratorを初めとしてプロ向けのグラフィックス処理ソフトは、データ交換用にEPS形式を使うものが主流です。このため、EPS形式は高度なグラフィックスの標準的な形式となっています。商業印刷のソフトにはEPS処理機能は必須です。

商業印刷のみではなく、マニュアルなどの技術文書を作成する際にも、グラフィックス・データをEPS形式にして使うことが多いようです。イラストを別のソフトで作成し、それをEPSファイル化して持ってきて、マニュアル本文中に図形として組み込むわけです。

EPSのファイルは、PostScriptによるページ記述命令と、そのページのプレビュー・イメージの両方を1パッケージ化できるようになっています。プレビュー・イメージはPostScript命令からページ内容をレンダリングする機能をもたないソフトでも、EPSファイルの内容を表示できるようにするためのもの。EPSファイルを作成する時に、オリジナル作成ソフトが用意して埋め込むのが普通です。

Webなどで配信するPDFを作成する際は、グラフィックス部分にはEPSファイルからプレビュー・イメージを取り出してPDFに埋め込めば良いのです。しかし、印刷用のPDFを作成するには、EPSファイルからプレビュー・イメージを取り出して埋め込むのは不適切です。プレビュー・イメージでは解像度が低すぎて、綺麗に印刷できないからです。

また、EPSファイルにはプレビュー・イメージがないものもあります。その時、EPSファイルのPostScript部分からプレビュー・イメージを作り出さねばなりません。GostScriptをEPSにプレビューをつけるために使っているとコメントされた方がいましたが、11月9日のコメント、EPSの中のPostScript命令を解読してページをレンダリングするにはPostScript(または互換)インタープリターが必須となります。

つまり、PostScript非依存にしたつもりなのに、EPSがあるとPostScript(または互換)インタープリターが必要になってしまうんですね。

この問題をどうやって回避するか。PostScritpに依存しないPDF生成ソフトを提供しているベンダーにとって、EPS対策は知恵の絞りどころとなっています。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック