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2005年10月26日
PDFってどんなもの(5) – PDFの用途は?
この「PDFってどんなもの」、というタイトルでは、PDFの全貌をいろいろな角度から概観しています。今回は用途について、ちょっとさわりを:
PDFの用途は大きく、①印刷分野での使用、②ビジネス・教育・官公庁などでの一般用途、に分けて考えると良いのではないかと思います。
【印刷分野での使用】
雑誌や書籍を初め、パンフレット・ちらし、マニュアルなどの印刷物制作に関わる、制作担当、デザイナー、校閲担当者、印刷会社、広告会社などの間で印刷物の制作・進行過程でやりとりする電子データ形式としてPDFを使用するものです。
関係する人が専門家であり、比較的限定された人達が関係しています。前に、アドビシステムズがこの20年ほどの間に印刷業界の仕事をがらりと変えてしまった、と言いましたが、これは主に同社のPostScriptというページ記述言語の力によるものです。PDFは、PostScriptをベースに生まれたものですので、その生い立ちからして印刷用途との適合性が高いといえます。PDF仕様・製品が進歩したことにより、印刷業界では、徐々にPostScriptに代わってPDFが使われるようになってきています。
【ビジネス分野での使用】
ビジネス、教育、官公庁などでのPDFの使用は、ビジネスレター、月次報告書、申告書、報告書などを電子的に配布するためのものです。例えば、アメリカの銀行には、日本と違って通帳がありません。毎月利用実績(Statement)がPDFの形で送られてきます。通信・電話・電力・ガス会社、クレジットカード、証券会社からの報告書は日本ではまだ郵便物で送られてくることが多いですが、遠からず、アメリカのようにPDFで配布されるようになるだろうと思います。
現在のところ、上に述べたような、電子文書の一方的な配布形式としての使用が中心でしょう。
将来は、申告書などの入力用の形式としても使われるようになるでしょう。現在でもこれはできますが、あまり普及していないように思います。入力用の形式として使われるには、PDFの帳票を使って、簡単にデータを入力する方法をもっと普及させる必要があります。
印刷分野のPDFとビジネス分野のPDFでは、要求される機能が相当に異なります。また、適用されるPDFソフトウェアも異なることが多くなります。このあたりはPDFを利用する上でも重要なことですので、だんだん、詳しくお話していきたいと思います。
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