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2005年12月24日

PDFと文字(10) – Unicodeの誕生

さて、地域別に符号化文字集合が異なるということは、コンピュータ・ソフトウエアの国際化にとっては非常に面倒なことになります。テキスト処理はコンピュータ・ソフトウエアにとっては基本的なものなのですが、そのテキスト処理を地域毎に変更しなければならなくなってしまうからです。

また、インターネットの普及に伴い、地域を超えて情報交換を行う必要性も高まっています。地域別に符号化文字集合が異なると、国境を越えたコミュニケーションの上でも大変不便です。

こうしたことから地球上の全ての文字を網羅するグローバルな符号化文字集合が必要なことは容易に理解できると思います。

この要請に応えて生まれたのがUnicodeです。Unicodeについての情報はUnicodeコンソーシアムのホームページで見ることができます。

Unicodeのアイデアが生まれ、実際に活動が始まったのは、1980年代の終わり頃です。Mark Davisの「Ten Years of Unicode 1988 - 1998」(Unicodeの10年、1988年から1989年)を見ますと、次のようなことが書いてあります。

Unicodeの基本設計は、1987年にゼロックスにいたJoe BeckerとLee CollinsおよびアップルにいたMark Davisが検討した。ゼロックスは、Star(Xeroxの研究所でStarを見たSteve JobsがMacintoshのアイデアを得たのは有名な話)の日本版J-Starを作る過程で、また、AppleはKanji Talk(Macintoshの日本語環境)を作る過程で、日本語化の問題に直面した、こんなことからUnicodeのアイデアについて意見を交換した。

1988年4月に初めてアップルがUnicodeテキストのプロトタイプを出し、TrueTypeでUnicodeをサポートすることを決めた。また、1988年7月にアップルはResearch Libraries Groupから中国語、日本語、韓国語(CJK)の文字データベースを購入し、CJK漢字の統一化(Unification)をはじめた。(これが、日本で悪名高いUnicodeのCJK統合漢字問題の始まりというわけです。)

こうして、Unicode制定への活動が始まり、その後、Sun、IBM、Microsoftなどの米国メーカの賛同を得て、次第に大きな動きになっていきました。

Unicode1.0の仕様書は1991年に出版され、1992年には、仕様書の第2巻が追加されUnicode1.0.1となりました。

1987年から始まったUnicode1.0の歴史は「Chronology of Unicode Version 1.0」(Unicode Version 1.0年代記)にあります。

私は、Unicodeはコンピュータ・ソフト分野における20世紀最大の偉業のひとつと考えていますが、こういう歴史が作られる過程をまざまざと見られるのは大変に興味深いものです。

投稿者 koba : 2005年12月24日 08:00

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