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2008年05月26日
PDFによる情報保存の法的な有効性 (9) — 書面の定義は?
表題について、今日は、商業登記法を調べていました。
商業登記法
商業登記はオンライン申請ができます。この申請の手続き根拠は、商業登記法第17条とされています。
商業登記法第17条では、「登記の申請は、書面でしなければならない」とあります。
あれ?先日、会社法を見ていましたら、書面は紙で、それと、並列して電磁的記録を上げていたように思いました。もし、会社法の用語と解釈が正しいとしますと、商業登記法第17条では、電子申請はできないのではないでしょうか。
と思って調べましたら、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(オンライン化法)という通則法形式で、書面に代えてオンラインで可能としているようです。
しかし、問題は、この通則法のために、書面という言葉が混乱してしまっていることです。
例えば、会社法の第67条では、創立総会の議決権の行使方法の定め方を決めています。
第68条では、創立総会に出席しない設立時株主が書面または電磁的方法によって議決権を行使することができることを定款に定めた場合は、創立総会の召集通知書は書面でなければならないとしています。そうでないとき、ある条件を満たせば、電磁的方法で通知を発することができるとあります。
このように、会社法をざっと見ますと、書面は紙であり、それと別の手段として電磁的方法という筋を通しているように見えます。つまり、書面と電磁的方法は相反する手段です。
しかし、商業登記関係の規程では、随所に、書面が電磁的記録で作られている場合、という文言が出てきます。
例えば「商業・法人登記の申請書の添付書面を電磁的記録で作成している場合について」
商業登記関係規定では、書面は紙で作ることも電磁的記録で作ることもできるという風に解釈できる文章が随所に出てきます。
会社法にも、商業登記法にも、書面の定義はありません。しかし、会社法と商業登記で、書面の定義が逆さまになってしまうのは、如何なものでしょうか?
例えば、PDFで株主総会議事録を作成しますと、会社法では電磁的記録であって書面ではないことになりそうですが、商業登記法では書面を電磁的記録で作ったという解釈になってしまうようです。変ですね。
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