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2008年05月24日
電磁的記録は改ざんされやすい?
昨日は、印紙税についての小泉首相の答弁をご紹介しましたが、この答弁を読み、つくづくと考えてしまいました。
現在、何らかの書類を作る時、ほとんどの人は、パソコンのソフトウエアを使っていると思います。
もはや、現在の社会人で書類を、手書きで作る人はほとんどいないと言って良いと思います。パソコンで書類を作れば、印刷の際には、プリンタにお世話になっているはずです。ですので、書面の書類といってもその、ほとんどは電磁的に作成されていることになります。
それにも関わらず、「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税であるところ、電磁的記録については、一般にその改ざん及びその改ざんの痕跡の消去が文書に比べ容易なことが多いという特性を有しており、現時点においては、電磁的記録が一律に文書と同等程度に法律関係の安定化に寄与し得る状況にあるとは考えていない。」
という認識をしているのですが、この中には、技術に関する認識不足があるように思います。少し分解して考えて見ます。
1.「文書を作成することで、取引事実が明確化し、法律関係が安定するという経済的効果があること」
○これは、衆目の一致するところと思いますし、正しいでしょう。
2.「電磁的記録については、一般にその改ざん及びその改ざんの痕跡の消去が文書に比べ容易なことが多い」
○これは認識不十分です。電磁的記録に電子署名を施すことで、電磁的記録の改ざんは、書面の改ざんよりも困難になります。
3.「電磁的記録が一律に文書と同等程度に法律関係の安定化に寄与し得る状況にあるとは考えていない」
○この認識は2項が真という前提に基づきますが、2項が真でない場合はこの認識は誤っていることになります。
電磁的記録に適切な処理(電子署名)を施すことで、書面よりも改ざんを困難にできる、というのが正しいのですが、しかし、恐らくは、小泉元首相の答弁と同じような既成概念をもっている人は非常に多いと思います。
このあたりの認識を正すために、電子署名についての、もっと分かりやすいアピールが必要です。
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