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2008年03月02日
電子文書と紙文書 — 電子署名の目的と電子文書の状態
さて、電子文書は、紙文書とちがって、データの生成から可視化されるまでに複雑な過程を経過することを昨日お話しました。
電子文書を可視化する過程について考えていて、「電子文書の可視化過程と、電子署名の関係はどうなんだろう?」と疑問を持ちました。
電子署名自体は、デジタルデータであれば何にでも付与することができます。しかし、電子署名の使用用途によって、署名対象文書の種類が変わってくるはずです。
電子署名のプリミティブな役割は、署名対象文書が、署名後に改竄されたことを検出することです。電子署名を、この用途で用いるならば、どのような電子文書を対象に電子署名しても意味があると思います。この場合は、人間は介在せず、コンピュータのみで計算・処理することができますし、どのような電子データであれ、署名の付与と、署名検証のアルゴリズムは同等の意味をもつからです。
これに対して、電子署名を、署名者である人間が内容を確認して、確かに承認したことを証明する場合、すなわち署名者の意思を保証するために用いる場合は、事情が変わってきます。
この用途では、XML文書やバイナリの電子文書に人間が署名することは意味をなさない場合があるだろう、と思われます。
なぜかと言いますと、XML文書の場合は、レイアウト指定(スタイルシート)、バイナリデータの場合はアプリケーションによって、可視化され、表示される情報の意味が変わる危険があるからです。
極端な例ですが、「この色は、確かに、自分の指示した色です。」と言って承認しても、モノクロのディスプレイで見る人と、カラーディスプレイで見る人では異なった色を見ていることになります。同じカラーディスプレイでも、カラーがデバイス依存になることがあります。
そうしますと、XML文書やバイナリ文書に、人間の承認を証明する用途の電子署名をすることに意味があるかどうかは、かなり慎重に検討を要することになります。
では、PDFに電子署名することは、どうなのでしょうか?次回はこれを考えて見ます。
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