« 2008年02月28日 | メイン | 2008年03月01日 »
2008年02月29日
電子署名とタイムスタンプは普及してない?
昨日は、『電子署名・タイムスタンプ普及フォーラム2008』に1日参加しました。内容は大変充実しており、勉強になりました。主催者の方にお礼を申し上げます。
今日のセミナーを含め、電子署名・タイムスタンプ関係者が、電子署名、タイムスタンプが普及しないと、いうお話をされることをしばしば耳にします。2000年頃からやっている方々は、もうかなり長いことやっているのに思ったほど普及しない、と嘆かれているのでしょう。
最後の「パネルディスカッション」の冒頭に、モデレータの方が「紙文書と電子文書にギャップがある」「現実の世界は紙文書を前提に最適化されている。法制度も紙文書が前提になっている。」との導入がありましたが、そもそも、「紙文書」と「電子文書」を比較すること自体不適切ではないかと思いました。
紙文書には、手書きの文書あるいはFAXの受信などアナログ生まれの文書があります。
一方、電子文書は、ワープロで作ったり、データベースから取り出されたり、あるいは、Webから入力されたりするデータが元になるとしますと、実体はビットの配列です。それを、人間が認識するために、ディスクプレイに可視化することもありますし、トナーとインクで紙に定着させることもできます。後者は紙文書となります。
ですので、電子文書と紙文書には、「コンピュータ処理段階」対「人間向け」というフェーズの違いがあります。それから、人間向けの中でも、「ディスプレイ媒体」対「紙媒体」という違いがあります。
そう考えますと、紙文書と電子文書を同列に並べて議論するのは、本質的に違うものを比較しようとしていると思えるのです。その結果、議論の論旨が不明になっていないでしょうか?
電子文書が普及しないというのは、デジタル化が進まない・IT化が進まないということを意味していると思います。ですので、これは電子署名やタイムスタンプの前段階の話じゃないでしょうか。
(1)デジタル化が進まない・IT化が進まない、ということと、(2)電子署名やタイムスタンプが普及しないことは、段階を分けて、別のものとして議論する方が良いのではないか、と気になりました。これらが別のものであれば、対策も別に考えねばならないからです。
一足飛びに、乱暴な結論を言えば、日本の行政や市民社会って、まだ、デジタル時代になってない。電子署名・タイムスタンプ以前の社会じゃないの?ってことです。そもそもデジタル化すべきかどうか、という議論もあると思いますけれども。
そういう社会に電子署名・タイムスタンプを普及させようって、それはしんどいですね。
投票をお願いいたします