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2008年02月20日
筋肉質の決算書を作る 続き
昨日は、「税務上の処理の要求は、企業経営のために正しい決算を行うという観点から適切ではない。」ということをお話しました。
一応、国税庁の通達を上げておきます。
【法人税法上の取り扱いについて】
○「法人税基本通達等の一部改正について」課法2-19 平成12年11月20日
http://blog.homu.jp/?cid=30621によりますと、この古いバージョンがあるようですが、国税庁のWebで検索しても出てきません。
○No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5461.htm
販売用ソフトウエアの原本の償却は3年となっています。
一方、企業会計上では、次のような処理が推奨されています。
【企業会計審議会】
研究開発費等に係る会計基準研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書
この解説:
ソフトウエア会計基準 とは
会社の正しい姿を把握するためには、正しい決算書を作成することが非常に重要です。そういう観点では、この企業会計審議会の意見は、経営実務上にも納得できる内容となっています。
昨日の、税務上の取り扱いと比較して示しますと次の表のようになります。
開発フェーズ | 税務上の処理 | 企業会計審議会 | |||
---|---|---|---|---|---|
税務上の分類項目 | 税務上認められる償却方法 | 分類 | 処理 | ||
自社開発 | 製品化前(プロトタイプ開発費) | 無形固定資産 | 研究開発費・任意償却 | 発生時経費 | |
自社開発 | V1.0 | 無形固定資産 | 3年で償却 | 研究開発に分類。発生時経費 | |
自社開発 | V1.0超(次バージョン開発費) | 無形固定資産 | 3年で償却 | 無形固定資産 | 合理的な方法で償却。但し、残存有効期間に基づく均等配分を下回らないこと |
自社開発 | 発売後の製品保守 | 経費 | 経費 | ||
外注 | 製品化前(プロトタイプの作成) | 無形固定資産 | 研究開発費・任意償却 | 発生時経費 | |
外注 | V1.0 | 無形固定資産 | 3年で償却 | 研究開発に分類。発生時経費 | |
外注 | V1.0超(次バージョン開発費) | 無形固定資産 | 3年で償却 | 無形固定資産 | 合理的な方法で償却。但し、残存有効期間に基づく均等配分を下回らないこと |
外注 | 発売後の製品保守費 | 経費 | 経費 |
このように企業会計上は、妥当と思われる基準があるのに、税法上の取り扱い通達が、現実離れしているのです。
このために、企業の決算書と納税申告書の作成において、その調整を行わなければなりません。このあたりに毎年、この時期に頭を悩ます問題が発生する理由があります。
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