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2008年01月22日
Office OpenXML形式のISO投票でのコメントへの対応完了
Microsoft Office のファイル形式「Office Open XML Formats」のISOへの提案”ISO DIS 29500”は、ISOのFast Trackの投票では、賛成者が足りませんでしたが、2月のISOの「Ballot Resolution Meeting」までに、投票時に集まったコメントを反映して仕様書を改訂し、再検討されることになっています。このことは、昨年12月のXML開発者の日に国際大学の村田さんから詳しく報告がありました。
http://d.hatena.ne.jp/StL/20071221/p1
の「OOXMLの投票結果とballot resolution meetingの予測」を参照。
ECMAは1月14日コメントへの対応を終了して各国のISO関係者にレポートを提供したと発表しました。詳細な資料は公開されていませんが、概要がこちらに報告されています。
Proposed dispositions for National Body comments on DIS 29500 complete – New phase to begin
3500ものコメントが集まったということですから、これをすべて検討するのは大変な作業だったろうと思います。以下に、ざっと纏めました。
1.言語タグ
最初の提案では、言語を識別するのに自然数の組を使っていたが、これは、言語についてはISO 639、書記法についてはISO 15924に従うように変更。
2.日付と関連する計算
a)表形式における日付の保存を、ユニークな数値で保存していたものを、ISO 8601標準で定義する形式に変更。
b)1900年以前の日付
ECMAの案では、1900年以前の日付を計算する法則を規定していなかったが、ISO 8601に規定するように1900年以前の日付も計算できるようにした。
c)閏年の計算
ECMA案では、昔の表計算(Lotus 1-2-3)との互換性を保つために1900年を閏年として扱っていたが、これは、Lotus 1-2-3のバグを継承したものなので、正した。
3.仕様の主部分からの機能
既存文書・過去との互換性を維持するためにある機能を永続的なものにしないための取り扱い。
主なものは、閏年のバグ、VML、”AutoSpaceLikeWord95”のような互換性のための設定は、付録に移し、新しい文書の生成では使わないように推奨することにした。
a)VML
VMLについては、すべて削除せよとか、付録に移すべきという意見があった。ECMAはVMLを、仕様本体から除外することに合意した。VMLが使われていた箇所では、すべてDrawingMLを使用可能とした。VMLは、将来、DrawingMLにすべて取って代わられることになる。
b)互換性設定
古いアプリケーションとの互換性設定に関する記述を詳しく書くと共に、付録に移した。
4.仕様への適合性・構成
開発者が自分達で重要と考える機能だけを実装して、かつ、仕様準拠であることができるように。
a)適合性
WordprocessingML, SpreadsheetML, PresentationML, OPC、拡張性のそれぞれについて仕様適合性を記述した。
b)構成の変更
仕様を、(ア)DIS 29500-1(WordprocessingML, SpreadsheetML, PresentationML, SharedML)、 (イ) DIS 29500-2 (OPC:パッケージ化)、(ウ)DIS 29500-3(拡張性)の3部構成とした。
5.ページ境界
ページ境界として使える、グラフィック・オブジェクトをカスタム化可能とした。
6.文法にISO標準を使用
表計算の計算式、フィールドをISO/IEC 14977:1996を使って記述。
7.オブジェクトのリンク技術
オブジェクト・リンク技術について、KDE デスクトップ、GNOME対応のサンプルを増やした。
8.カラー
W3CのSVGに適用されているカラー定義を使うようにした。
9.パスワードのハッシュ化
ISO/IEC 1011803を使うようにした。
10.国際化
労働日と週末の定義方法をより自由にしたり、多言語対応のため右から左へ書く言語と左から右へ書く言語の表記に関する説明など、多言語対応を追加した。
11.アクセシビリティ
アクセシビリティの専門家にレビューしてもらい、アクセシビリティ・ガイドラインを作成した。
各国のISO担当機関からのフィードバックを反映したレポートは2月25日から29日のBallot Resolution Meetingの6週間前までに作成することになっていたので、それに間に合うように作成したもの。今後は、これに対して電話会議などで議論をしていくことになっている、とのこと。
「Office Open XML Formats」がいつISOの標準になるかは、分かりませんが、早くそうなって欲しいものです。
ちなみに、アンテナハウスでは、現在、「サーバベース・コンバータ(SBC) 2.0」を開発しています。SBC2.0は、Office 2007互換の組版エンジンとなります。長期的には、ISO 29500に準拠した組版エンジンということにしたいと思います。
ご参考:サーバベース・コンバータ
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投稿者 koba : 2008年01月22日 08:00
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