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2007年12月29日
PDFの世界標準ISO 32000がISO標準になったら?(3)
これまで何回か指摘していますが、紙は2000年以上の歴史をもち、現代でも情報媒体として、プリント媒体は非常に有力なのは間違いありません。日本での紙の生産量は、電子化・ペーパーレスが叫ばれる今でも純増になっているそうです。
一方、情報を出版したり、交換したり、蓄積する媒体として考えますと、紙はあまり効率が良くありません。特に、遠隔地に送付したり、膨大な量の情報を蓄積したり、あるいは、検索などを考えますと効率が悪いのは明らかです。紙ベースで業務を進めるようなシステムでは、数人の企業であればともかく、中堅以上の企業では、電子的なシステムに効率面でまったく対抗できないでしょう。
一方、情報を可視化し、閲読するための媒体として紙は非常に有力です。そうしますと、電子化・デジタル化された情報を紙媒体を前提として可視化するという方法は、電子化された・デジタルの世界と人間の可視世界とをつなぐ非常に重要な手段となります。
このデジタル情報を紙媒体に可視化する、という点で、現時点でもっとも有力な媒体はPDFです。しばらくの間、恐らく10年やそこらの期間、その地位が揺るぐことはなさそうです。
私は、日本ではPDFについて、あまり好意的・前向きに評価していない人が多いような印象を受けています。日本では、欧米に比べて、ややPDFの採用が遅れているように思います。
しかし、PDFが世界標準になることで、官公庁や行政をはじめ、日本でもPDFの利用にますます拍車がかかることは間違いありません。
需要が膨らめば、供給が増えるのが経済の原則でしょう。そうしますと、PDFの供給元が増えて、PDFの種類がますます増えてきます。
情報交換の媒体にPDFを使うということを円滑に実現するには相互運用性が重要です。アドビ製品だけで話が済んでいた時代には、相互運用性はあまり問題にならないでしょうが、供給元が増えて、さまざまなPDFが出てきますと、相互運用性をどう維持するかが、最も重要な課題となるように思います。