« 2007年12月03日 | メイン | 2007年12月05日 »

2007年12月04日

PDFと長期署名(17) — PDF独自の長期署名仕様をどうするか?

「PDF千夜一夜」では、過去16回にわたって、PDFと長期署名について考えてきました。

現在、長期署名については、ECOMで実証実験が進んでおり、2007年度も多数の企業が参加して相互運用実験を行っています。

「長期署名フォーマット相互運用テストプロジェクト」

アンテナハウスは参加していませんが、関連会社のラング・エッジがXAdESに積極的に取り組んでおり、実証実験にも参加してます。この実証実験は、なかなか大変なようですが、有意義なものだと思います。

さて、PDFに長期署名を施すことはできますが、その結果は、PDFファイルにはできません。現在の時点で長期署名を施した結果をPDFとして保存できる仕様はないからです。

この仕様について、日本独自のPDF長期署名仕様を長期署名JISの中に盛り込むという動きがあり、この案が当初のECOMの長期仕様に関するJISへの提案に盛り込まれていました。しかし、その後、これについては大きな問題があるということが分かりました。現在、下記に掲載されている10月17日付けの最新案からは削除されたようです。

http://www.ecom.jp/LongTermStorage/esprofile.html

さて、そうなりますと、PDFの長期署名仕様をどうするか、ということが改めて大きな検討課題となります。

これについて、私は、現在の時点では、次のように考えています。

まず、日本独自のPDF仕様を考えるのは、止めるほうが良いと思います。一番大きな理由は、いまのソフトウエア業界では、日本独自の仕様というものは、全く通用しなくなっているのではないかということです。日本独自に関わらず、独自仕様というものが難しくなっているとも思います。

結論を急ぎ過ぎかもしれませんが、独自仕様は、結局、コスト的に非常に大きなものになります。米国や中国のような大きな市場であれば、なんとかなるかも知れませんが、日本のような中途半端な規模の市場で、独自仕様を考えたら、海外勢にコスト的に全く太刀打ちできなくなってしまいます。短期的には成功しそうにみえても、長期的には必ず駆逐されてしまうのではないでしょうか。

そうなりますと、もし、仕様を作るなら相当に大きな視野でものを考えて、世界をリードできなければならないと思います。

投票をお願いいたします

投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック