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2007年11月21日

オープンソースって優れているから脅威なの?

「ウェブ時代をゆく」(梅田 望夫著 ちくま新書)を読んでいます。この本は、著者の梅田氏の仕事感・職業観についての本です。

対象の読者は、恐らく、30才代以前の年齢の人達だろうと思いますが、この本にはアイデアが溢れています。特に、「ロールモデル思考法」なんて、今まで考えてみたこともありませんでした。私にとっては、それだけで、読む価値があります。

ところで、ひとつだけ、文句を言いたいことが。

梅田氏は、オープンソースを盛んに持ち上げています。特に、例えば「リナックスのように成功するオープンソース組織は強固なものとなり、成果物たるソフトウェアの性能や品質が、営利組織によって作られたものを大きく凌ぐという摩訶不思議な現象を引き起しているのである。」(p.182)というような記述が何回も出てくるのは、ソフトウェア・メーカの経営に携わるものにとって、率直に言って、まったく我慢できません。

私は、リナックスが、Windowsより優れていると思ったことは、過去に一度もありません。また、例えば、弊社のXSL Formatterと競合するオープンソースにFOPというのがありますが、恐らく、XSL-FOの専門家100人に聞いて、FOPがXSL Formatterより優れているという人は、居るかもしれませんが、極僅かなことは確かでしょう。

プログラムには、無論、出来の良し悪しがあります。オープンソースで良いものもあるでしょうし、営利組織の作った製品で良くないものもあると思います。しかし、恐らく、全体としていえば、オープンソースの方が玉石混交で、使えないものが多いでしょう。私の経験ではオープンソースで、本当に良いと思ったソフトウェアはないとは言いませんが、極少ないです。営利組織の方が平均すれば品質は良いのではないでしょうか。

まあ、こういうことは、検証可能な数字で議論しないと水掛け論ではありますが。

「オープンソースが産業界にとって脅威」という言葉もでてきました。確かにオープンソースは脅威ではありますが、その理由は、私の立場からは「オープンソースは無償なので、マーケットがデフレ構造になってしまう。」という理由です。「オープンソースが優れているから脅威だ。」と思ったこともあまりありませんね。

という訳で、「面白い!」「腹が立つ!」の繰り返しで読んでいる本。そういうにはめったに出会えませんね。梅田さんありがとうございました。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック