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2007年09月15日

「無在庫出版への挑戦」セミナー

ドキュメント・サービス・フォーラム(DSF)の「無在庫出版への挑戦」というセミナーに出席しました。DSFは、印刷会社を主なメンバーとする「オンデマンド印刷と出版の未来」をテーマとする研究会なのだそうです。DSFは10年前から研究を行っており、今日は、その研究発表会とのことでした。

これまでに何回かお話しました「ブログの書籍化サービス」のオンデマンド印刷の応用例の一つですが、今日は、その全体像について話を聞くことができ現状が良く分かりました。

以下、印象に残りました内容のメモです。
1.中西印刷 中西 秀彦氏
・1990年代央から出版は長期低落傾向にあり、出版不況という状態である。昔は高速大量型の出版システムであったがもう限界である。少部数化、多点数化は必須。
・長期的に見ると電子本への遷移になると思うが、まだまだ、電子本の比率は少ない。しばらくの間、紙の出版でやるべきことがあるだろう。これが、オンデマンド出版へ取り組む動機。
・オンデマンド出版では、組版データをそのまま印刷機にかけることになり、製造工程が大幅に省力化される。
・少ロットなら、低コスト・短納期となる。但し、大部数では必ずしも低コストではない。その分岐点は、モノクロであれば400~500部、カラーでは1000部。それ以上であればオフセットの方が単価が安くなる。

 これは印刷会社のノウハウもあり一律ではないし、また、将来はもっとオンデマンド出版で大部数を低コスト化できるだろう。但し、10年前に予測したよりも分岐点が上がっていない。この理由は、オフセットの方も印刷の単価が下がっているため。
・現在の機械マニュアルなどの作成ではオンデマンド出版が良く使われている。マニュアルを電子化しておき、機械が売れる度にマニュアルを印刷する。
・オンデマンド商業出版の実例
 日版ブッキングが、オンデマンド商業出版の嚆矢
 ブックパーク
 ジュンク堂(本屋の店頭でオンデマンド) 但し、なくなった?
・自費出版
 自費出版は、オンデマンド出版の大きな市場であるが、文化の担い手としての出版と言えるか?疑問だ。
・現在のオンデマンド出版は、実験段階を過ぎて、商業出版としての試行錯誤の段階になっている。
・もともと、極少数では総売り上げが少なすぎてビジネスにならない。そういう意味では、オンデマンド出版を安いオフセットマシンと捕らえてはならない。
・ハイブリッド出版は有効--初版はオフセットで、重版からオンデマンド出版で。ロングテール需要をオンデマンド出版で捕らえる。
・印刷品質は、オフセットと差がなくなってきた。但し、製本品質はまだ課題がある。
・電子データの蓄積が増えてきたので、今後、それをオンデマンドで出版する需要は増えるだろう。

投稿者 koba : 2007年09月15日 08:00

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