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2007年09月05日

DITA導入の効果について

YahooのDITAユーザズ・グループの議論を見ていましたら、参考になりそうな、興味深い議論がでていましたので、以下に簡単に紹介します。

■8月30日に、DITA初心者のCrystalさんが投げた質問からスタートしています。
質問は、概略で、次のようなものです。
「現在、Crystalさんの会社では、RoboHelpとFrameMakerを使って、WebHelpとPDFを作っているのですが、なにか変更がある度に2つのツールで内容を変更しなければならない。DITAを使えば、ひとつのレポジトリにデータを保管しておき、印刷とオンライン・ヘルプの両方ができそうに思えるだが、どうだろうか?なにかアドバイスは?」

これに対していろいろな人が回答して、かなり長いストーリーになっています。
■8月31日 Markさんの回答
・DITAは、まだ成長途中だ。私は、最近、FrameMaker+DITAに移行した。いまは動いているが、移行するのに6ヶ月も掛かって、かなり大変だった。現在は、OpenToolKitでHTML Helpを作成し、FrameMakerでPDFを作っている。しかし、急ぐのでないなら、あと、1年位待つ方が良いのではないかな?
・FrameMakerは、DITAのグローバルな検索ができないのは悲しい。ファイルを跨る検索には、サードパーティのテキスト・エディタを使わなければならない。

■8月30日 Troyさんの回答:この人はOracleのInformation Archtectの肩書き
・いままで7年ほどXMLのプロジェクトを担当していて、いろいろやってきたが、いまはDITAを使っている。
・DITAはものすごく柔軟でいろいろなことができ、プログラムの能力さえあれば、なんでもできる。
・DTPのようなスタイルとコンテンツが分離されていないシステムから、DITAを使ってコンテンツとスタイルを分離することで大きな効果がある。

-XMLからPDFやHTMLをビルドするシステムを作っておき、
-翻訳部門にXMLを渡して、翻訳してもらう。
-他の言語を英語と同じ、ビルド・プロセスを通して、PDFやHTMLを作るようにする。
-旧システムでは、大勢の人間が関与していたが、新しいシステムでは自動的に多言語のアウトプットを得られる。こうしたことで、非常に大きなコスト削減になる。
・データにプレゼンテーション(見栄え)を埋め込むのを止めることが、最も基本的なことである。
・次に構造を抽象化するのが第二ステップ。
・そして、ファイルからのリンクを関係表に抽象化する。

ある程度の規模の会社になれば、ドキュメントをビルドする仕組みの面倒をみることのできるエンジニアがいるが、DITAについても同様で、XSLTや他のXMLのスキルのある人間が必要である。レガシーなドキュメントを構造化するのは、一から始める必要がある。

DITAを実装するのは、脳外科の手術のようなものだ。手術の最中には、スキル、注意、麻酔などが必要だけど、手術が終われば完全に新しい脳を手に入れることができる。

※ちなみに、Troyさんは、9月1日のメールで、前回のプロジェクトでは、DITAからPDFを作るのにAntenna HouseのXSL Formatterを使った。DITAの数千のトピックを扱えるのは、XSL Formatterしかなかった。他の製品は皆、途中で、沈没する船のようにメモリ不足で沈んでしまった、と述べています。
この部分、引用しておきましょう。
"In a past project, my team and I explicitly went out of our way to avoid Frame as an intermediary for PDF production, using a common XML source for both online and PDF presentations. We used XSLT for online help and XSL:FO with the Antenna House processor for the PDF production. At the time, the Antenna House processor was the only solution that could handle the overhead of thousands of topics. Everything else leaked memory like a sinking ship. The Antenna House XSL:FO processor isn't open source, but the license cost was nothing compared to the former production costs of manually adjusted PDFs."

ライターは、構造化文書について詳しくないなら、新しい情報アーキテクチャを勉強する必要があり、プログラマのように考える必要がある。とにかく、ツールではなく、スキルが重要。

■8月31日Bobさん
・確かにスキルが重要なことは賛成する。トピックを書いて、出版のためにマップに組み立てるのは、プログラマのスキルが必要。

■8月31日Markさん
・現在のところ、DITAの最適なツールはない。特に、50人程度の規模の小さな会社に向いたのはない。使いやすいDITAのツールで多数のフォーマットを出力してくれるようなものは、だいぶ先じゃないか?

■8月31日Keithさん
・昨年と今年、かなりDITAのことを調べたが、使うには複雑すぎると思った。いまのところ、FrameとWebWorksをまだ使っていて、小さなプロジェクトだけ、DITAを勉強するために使っている。

このあたりの議論を読んでいますと、次のような印象をもちます。

比較的大きな規模の会社だと、専門のプログラマ・技術者をアサインして、ドキュメントをビルドする仕組みを用意できるので、システムを作ってDITAに移行すると生産性がかなり上がる。しかし、小さな会社だと技術的なスキルを持った人がいないので、ツール頼みにならざるを得ない。しかし、まだツールは十分に簡単になっていない。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック