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2007年07月24日
PDFと長期署名(4) — PDF/A 仕様 2
PDF/A-1の仕様書は、表紙を含めて36ページと薄いものです。
アンテナハウスでは、XSL Formatter V4.2でPDF/A-1の出力機能を追加する予定でだいぶ前から実装していました。日本のお客様からはそれほどでもないのですが、やはり海外のお客様からの要望があるようです。
いままでは、担当者から報告を聞いていた程度でしたが、今回、初めて仕様書を読んで見ました。内容はかなり細かな規定があり結構大変です。仕様書を少しづつ読んでみましょう。
2.ファイル構造
ファイル構造の項での制限は細かく記述されていますが、主なものは次の通りです。
・ファイルトレーラ辞書にIDキーワードを含むこと、また、Encryptキーワードを使用してはならない。
ファイルトレーラは、PDFファイルの最後に存在して、アプリケーションは最初にここを読んで、クロス参照表(xref)の場所を探したり、特別なオブジェクトを探します。IDはファイルの識別用に使うものです。通常はオプションですが、PDF/A-1では必須となります。また、Encryptキーワードは、PDFにセキュリティ設定をしたときは必須になるもので、Encryptキーワードを禁止する、ということは、セキュリティ設定を禁止することになります。
・文書情報辞書はXMPメタデータ特性と一致すること。
PDFの文書情報辞書でメタデータを記録します。
PDFの文書情報辞書は、Title、Author、Subject、Keywords、Creator、Producer、CreationDate、ModDate、Trappedがあります。名前で大よその推測がつくと思います。これらの項目の内容は、XMPメタデータの、dc:title, dc:creator, dc:subject, pdf:Keywords, xmp:CreatorTool, pdf:Producer, xmp:CreateDate, xmp:ModifyDateと一致させる必要があります。
・streamオブジェクト辞書にはF、FFilter、FDecodeParamsキーを含んではならない。
これらのキーは、PDFの外部のデータをポイントするためにつかわれるものです。これによりPDFファイルの外部のコンテンツに依存することができなくなります。
・LZWDecodeフィルタは許可されない。
LZW圧縮は特許問題(既に特許は有効期限切れで失効しました)で使用禁止です。
・ファイル仕様辞書(PDF Ref. 3.10.2)には、EFキーを含んではならない。ファイル名辞書(PDF 3.6.3)はEmbeddedFilesキーを含んではならない。
PDFには、PDF以外のファイルを埋め込むことができます。Acrobat8では、「文書」メニューの「ファイルを添付」とすると添付ファイルを使うことができます。
添付ファイルは次のようにPDF本体と別のウインドウで開いてみることができます。
この添付ファイルは、ファイル仕様辞書のEFキーとファイル名辞書EmbeddedFilesキーで指定します。これを使えないことはPDF/A-1では添付ファイル使用禁止を意味します。
・ドキュメント・カタログ辞書には、OCPropertiesを含んではならない。
これにより文書の代替レンダリングを許すオプション内容を含むことができません。要するに、文書の可視化の代替処理を許さないということです。