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2007年05月26日
xfyの未来は?
今日は、ジャストシステムのxfyソリューション・フォーラムがありました。
牧野 二郎弁護士の「内部統制時代を生き抜く企業側の心構えとは」という講演は、40分間という短い時間でしたが、内容抱負で大変参考になりました。こういう講演を無料で聞かせていただいたことにまず感謝!
また、別室でxfyのデモがありました。
ジャストシステムで用意したデモ:
・J-SOX対応の文書作成
・製造業のマニュアル作成
・金融機関向けのマニュアル作成
・XBRLソリューションなど
それから、次のパートナーによる展示:
・NECネクサソリューション
・キヤノンマーケティングジャパン
・日本情報通信
・JIEC
これを一渡り見ての感想ですが、xfyの技術はホントにすごい!の一言につきます。私は、弊社のエンジニアには昔からXSL_FOをWYSIWYGで編集したいと言っても、なかなか相手にしてもらえませんでした。技術的には不可能でないことは、分かっていますけれども、xfyではそれをいとも簡単そうに実現しています。その点は、まったく脱帽するしかありません。
ただ、気になるのは市場ですね。XMLの市場というのは、なかなか大変な市場で、特に今回のデモなどを見ていますと、ジャストシステムは、xfyでかなりドキュメント系の分野に踏み込んでいるのですが、本当にドキュメントの分野でXMLのマーケットが爆発的に大きくなるのだろうか?ということです。
昨年のxfyの発表時点では、xfyでエンタープライズ・アプリケーション・フレームワークということで、IBMのDB2や、Oracle10gなどと連携し、XMLデータの入力・可視化する開発フレームワークを強調していたと記憶しています。これに対して、この半年の間で、かなりドキュメントに重点をシフトしてきたという印象を受けました。
しかし、ドキュメントのXMLはなんといってもスキーマが大変で、企業内データのレベルと比べますと、かなり複雑です。複雑なため開発のコストと時間がかかり、結局、大きなシステムになるためスタートしてからできるまでに時間がかかる傾向があります。そういう分野で急激に売上を増やせるのだろうか?と他人事ながら心配になりました。
ちょうど、ジャストシステムは、5月23日に2007年3月期の決算を発表しましたが、売上高約127億円に対して、経常赤字が約21億円。連結では、売上高130億円に対して経常赤字約33億円です。
その赤字はxfy事業によるものです。事業戦略説明資料によりますと、xfy事業部の赤字が約40億円(XMetal、海外を含む連結)となっています。これは、投資であるというと聞こえは良いですが、40億円のコストをかけて、2007年3月期xfyの売上はわずか5千万円(但し、XMetalを合わせた、xfy事業では2.6億円)です。発表数字によりますと、xfyの欧米での売上はゼロとなっていますので、この売上は、ほとんど国内と思われます。
xfyを発表したのは、確か2004年のXML Conference(USA)ですので、発表してから既に3年を経過しています。それで、5千万円の売上しかないというのは、少なすぎるのではないでしょうか。
例えば、米国最大のXMLドキュメント・ソリューション&ソフトベンダであったArborText社も、結局独り立ちできずに、PTCに買収されましたが、2005年3月末時点で、4千万ドル強(約48億円)の累積赤字を抱えていました。XMLドキュメントのビジネスは、それだけ技術的にも難度が高く、営業的にも敷居が高いのです。このように見ますと、ジャストシステムのxfyへの挑戦は、ビジネスとしてみても、とんでもなく難度の高いものと思います。
それだけに、うまくビジネスとして軌道にのれば、誰も追いつけない領域を作り出せるとも言えますが。いづれにしてもここ1,2年が勝負の分かれ目。健闘を祈ります。
※ArborTextは未公開企業でしたが、PTCが公開企業のため、PTCがArborTextを買収した時に決算書が開示されました。それによりますと、2004年12月期の年間売上は、約33百万ドル(39億円)、税引前損失4百万ドル(4.8億円)となっていました。売上高を超える累積損失を抱えていたということからもXMLドキュメント・ソリューション&ソフト・ビジネスの難しさが想像できます。
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