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2007年05月13日
PDFと署名(25) — 署名の外観
PDFでは電子署名に印影やサインなどの外観をつけることができます。
例えば、次の図のように署名者の印影を付与するために外観を使います。
一般に、PDFのフィールドには、外観をwidget注釈で設定できるのですが、署名はフィールドの一種として扱われますので、署名の外観をwidget注釈で設定できるわけです。この概観は、本来の目的である電子署名されたPDFを検証するために必要なものではなく、外観のない署名[不可視署名]も許されます。
書名付きのPDFをAdobe Reader8で表示しますと、次のようにアイコンとツールチップが表示されます。
このアイコンとツールチップは、Adobe Reader(プログラム)で表示しているもので、PDFの中に埋め込まれているものではありません。
この署名の外観のために、widget注釈の外観辞書(AP辞書)をどのように設定するかは、原則として、注釈のAP辞書の仕様に基づいていれば問題はないはずです。しかし、各署名ハンドラが勝手にすると、ユーザが混乱を招くということで、「Digital Signature Appearances (Acrobat 6)」にガイドラインがあります。
参考資料:Digital Signature Appearances (Acrobat 6)
これを読みますと、Adobe自体が、Acrobat 6でかなり大幅に署名の外観の取り扱いを変更したことがわかります。すなわち、Acrobat 4/5では、署名の外観を、署名の検証状態と対応して、未検証だと「?」を表示、検証結果が不可では「×」を表示するように変化させるため、AP辞書にそのためのデータを埋め込んでいました。
ところが、Acrobat 6からは、現在のように、アイコンとツールチップを表示する方法に変わっています。
現在のAcrobat は、Acrobat 4/5で作成した電子署名の外観を同じように取り扱える下方互換機能をもっていますので、Acrobat 4/5の古い電子署名とAcrobat 6以降の新しい電子署名で外観の表示が変わるはずです。
このように、Acrobatでは、署名の外観の取り扱いも、Acrobat 4/5と6~で変わっている、ということに注意しなければなりません。なお、ガイドラインではサードパーティはAcrobat 6~と同じように外観を作ることが推奨されています。
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