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2007年04月23日

1億台のコンピュータ計画、進捗状況(1)

日曜日ということで、Webでいろいろブログを読んでましたら、2005年にスイス・ダボスでの世界経済会議で、ネグロポンテ先生が提唱した、「子供1人に1台のラップトップを」(One Laptop Per Child:OLPC)計画の詳しいレポートに行き当たりました。

The Laptop Crusade (IEEE Spoectrum Online 4月号)

1年以内に、アルゼンチン、ブラジル、リビア、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、ウルグアイの、電気のない地方の村の子供達に1,000万台のPCが配布されるだろうとのことです。以前、ニュースでこのプロジェクトの提案を読んだときは、途方もない計画!と思いましたが、だいぶ進んでいるようです。

IEEE Spectrumと言えば、信頼度の高い技術雑誌ですので、いい加減な情報ではないと思います。かなりの長文のレポートですが、どんなことが書かれているか、さわりだけをピックアップして紹介してみたいと思います。

・この計画は、100ドル・ラップトップ計画とも言われるが、世界中に20はある低コストのラップトップ開発計画の中でもっとも大規模で、もっとも資金的な裏付けのあるものだ。

・ネグロポンテ先生は、2005年に計画を提唱してから積極的に動いて、世界中の著名人やメディアにPRした。2006年にMITから独立してOne Laptop Per Childという非営利団体になり、同年6月に実際に動くプロトタイプを示した。

・政治的・教育的な課題 — OLPCは、世界の7カ国から、2008年初頭までに出荷する500万台以上の注文を得ている。しかし、これは、教育予算を使って、学校のために本を買う代わりにラップトップを買うことになるので、困惑している人も多い。買ったとしても政府の崩壊で、学校にコンピュータが届かない可能性もある。学校に届いたとしても、教師が使い方を知らない間に、子供が使い方を覚えて、授業の間にチャットをするのに使ってしまうかもしれない。

・技術的には驚異的 — ラップトップは、ゲーム・コンソール、家庭内の劇場、電子ブックとして使われるため、ディスプレイは自在に回転させる必要がある。そこで、CPUはディスプレイの背面に配置されて、キーボードとの配線が単純になっている。壊れないようにするため2ミリ厚のプラスティックの殻をもち、埃や液体から守るためキーボードはゴムで覆われている。

・ハードディスク、冷却ファン、モニタの背面蛍光がない。アプリケーションとドキュメントは130MBで、512MBのフラッシュ・メモリに保存されている。

・電源は、車の電池から取ることもできるし、リチウム・イオン電池に手回しのクランクで充電する。しかし、子供達の手では、充分な充電は難しそうだ。そこで、1月には、Squid Labが、糸で引く発電器のプロトタイプを作った。これはYO-YO A GO-GOと呼ばれる。

イメージはこちら

・通常のPCは、30Wの電力を使うこともあるが、100ドル・ラップトップのプロトタイプは3Wで動く。CPUは、AMDのGoeoge GX 500@1.0Wという32ビットCPUである。1万個以上のロットで20ドル/個以上する。

・もっとも驚きなのは、砂漠の太陽の下から、室内で文字を読めるようにするための超低消費電力ディスプレイである。台湾のChi Mei Optelectronicsと協力して作った。(続く)

One Laptop Per ChildのWebページ

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック