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2007年03月15日

XMLによる法制システム — ニュージーランドPALのケース

先日のOpen Publishで、XMLによる法制システムのとても興味深い報告がありました。このことは、
2007年03月10日Open Publish Conference — XML オーサリングで少し触れたのですが、Webで調べてみましたところ、ニュージーランドでは、法律を公衆に公開するシステム(Public Access to Legistlation)の大掛かりなプロジェクトが進んでいるようです。

ところがこのプロジェクトが、途中で大幅に遅延し、開発費が大幅増になって、問題になったのですね。このプロジェクトは、2003年2月から運用を開始する予定だったようですが、いろいろ問題があり、2003年~2004年は停止、結局、2005年に復活、しかし2006年の秋現在ではまだ完成していません。Web上では2007年央から稼動の予定となっています。

プロジェクトを行っているのは、議会書記局です。システム開発はUnisys。議会書記局のWebページにプロジェクトの経費がどうなったのか、ということまで様々な情報が公開されています。この情報公開の姿勢は日本政府もぜひ見習って欲しいものです。

Parliamentary Counsel OfficeのWebページ
Public Access to Legislation Project

まだ、全ての情報を詳しく読んでいないのですが、このシステムは立法のための草稿から完成までをXMLで行うもののようです。

政府レベルの話なのでかなり大掛かりなものですが、ケーススタディとしてもなかなか興味があります。

XML編集システムは、PTC/ArborTextのEpicEditorを使い、組版はFOSIを採用、ArborTextのPrintComposerを使おうとしたようです。

ところが、システムのパフォーマンスに大きな問題がありました。大勢の人が懸念をもち、外部のコンサルタントに依頼してシステムについて技術レビューを行っています。

Final Report—New Zealand PCO Technical Assurance Review(技術レビュー)
特にFOSIの複雑さ、メンテナンスの悪さ、パフォーマンスの悪さが問題のようです。
6.2.2 Epic Print Composer—the Print Rendering Tool
には、PrintComposerのパーフォーマンスの悪さが書かれています。
誰か他の人が大きなBillを作っていると、20分も待たされると。

結局、組版エンジンがかなり大きな問題になったようで、組版エンジンだけで次のレポートがあります。
Rendering Engine Review—Final Report(組版エンジンの評価レポート)

ここで評価の対象になっているのは、
3.1 ArborText E3 (ADG)
3.2 XyVision XPP (XyVision or ADG)
3.3 Advent Publishing 3B2 (Allette Systems)
3.4 Elkera XML Print (Elkera)

でXSL-FOは残念ながらまだ代替候補になっていません。将来は、XSL-FOに変わるかもしれない、というような書き方です。2004年にしては感度が鈍すぎると思いますが。アンテナハウスのXSL Formatterを選んでいれば、プロジェクトがこんなに難航しなかったのではないか、と言ったらいい過ぎでしょうか。

2000年に、実装協力者を募集していますので、XSL-FOには少々早すぎたのかもしれません。しかし、2004年の再評価には立候補するべきでした。知っていれば!!ニュージーランドまで行ったのですが、残念です。

XSL Formatterは国レベルの立法システムでは、カナダ政府で2000年代前半から使われています。カナダでは、英語とフランス語で翻訳ではなく、平行して法律を作るようです。やはりニュージーランドよりはカナダの方が進んでいる?

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック