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2007年01月26日

PDFの解像度とは?(2)

昨日、PDFには、そもそも解像度というものがない、と言いましたが、それをもう少し分解して説明してみます。

PDFにはページの内容を表現するための様々なオブジェクトが定義されています。それらのオブジェクトの中で主なものは、次の図のような、テキスト(文字)、線画、イメージとなります。
20070126-1.PNG

この中で、テキストは文字コードまたはGIDの形で、PDFファイルの中に含まれていることは先日お話しました。

2007年01月22日 日本語の文字についての用語について(9) — PDFへのフォント埋め込みとは

PDFのテキストを表示・印刷する時は、PDFを表示・印刷するコンピュータの上で、フォントのグリフデータを使って、アウトラインの状態からビットマップの状態に変換して可視化されます。その段階で、初めて解像度が問題になります。PDFの状態では解像度という概念はあてはまりません。
※アウトラインフォントの場合です。

PDFファイルの状態では、線画オブジェクトは2次元座標系の上に数学的な直線・曲線(パス)として表現されることができます。そうしたパスに線幅指定、色指定したり、パスで囲む領域を塗り潰したりすることで、図形が表現されます。これらの図形は、物理的な機器とは無縁の、数学的な曲線、曲線の状態を変えるパラメータで表現されていることになります。従いまして、PDFファイルの状態では解像度という概念はあてはまらないことになります。

最後のイメージ・オブジェクトは、ビットマップイメージですので解像度が関係しますが、これは、PDFに埋め込む前にビットマップとして作られていた状態のものを持ち込むことになります。ですのでPDFの解像度というよりは、画像自体の解像度ということになります。

このようにPDFファイルは、基本的にデバイスとは独立の状態でデータを保持することができますので、解像度という概念は該当しないのです。

アプリケーションが、アンテナハウスの「PDF生成ライブラリー」のようなプログラムを使って、オブジェクトを直接PDF内に記述して作成すれば、解像度設定は関係なくなる、あるいは、純粋に数学的に(デバイス独立の)PDFを作ることができます。

今日、ある会社の社長さんがお見えになって、「当社の製品は、CADファイルからPDFファイルへ、ダイレクト変換していますので、高精細です。例えば、円はいくら拡大しても円のまま」というお話をされていましたが、これはそのことをおっしゃっていたのですね。確かに、CADをPDF化するとき、線の太さなどを正確にPDF設定するには、ダイレクト変換が必要なように思います。

アンテナハウスの製品では、サーバベース・コンバータXSL Formatterは、それぞれ、ダイレクトPDF作成を行っています。ですので、この2製品には解像度設定はありません。できないのではなく、解像度という言葉が、そもそも該当しないのです。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック