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2007年01月07日
Windows Vista と日本語文字コード問題(4)
昨日までのお話を一言で言いますと、JIS X0213:2004にある文字を全て取り扱うためにはUnicode処理の強化が必要。多くのアプリケーションで、いままでのままでは、正しく処理できない漢字が最低303文字、非漢字が25文字あるのではないだろうか、ということになります。
「Microsoft Windows VistaにおけるJIS X 0213:2004 (JIS2004)対応について」 2006年11月 Version 1.0(Microsoft)によりますと、Windows Vistaは、このために文字入力用のIME、文字列描画用のUniscribeとGDIといった共通のコンポーネントが強化されているそうです。
文字の処理と言っても、文字列の入力・編集・表示・検索・比較など多様です。Windows Vistaでも、IME、Uniscribe、GDIの変更のみではなく、他にもいろいろ変更になっているはずです。また、Windowsの上で動くアプリケーションの場合は、それがWindowsのコンポーネントが提供する機能をどう使っているかによってかなり事情が変わることに注意しなければなりません。結局、ユーザはアプリケーション毎に確認が必要です。
蛇足ですが、LinuxなどのWindows以外の環境で動くアプリケーションは、Windowsが用意した共通機能を享受できません。JIS X0213:2004 をサポートするには、自力で、Windowsが共通機能として提供しているものに相当する機能を強化しなければなりません。
さて、日経BP IT Pro特番ページを見ますと、「文字が化ける」という観点を強調しています。確かに、印刷・PDF化などの観点からは、文字の形がどうなったかは重要です。次にこの問題を検討します。
第二.新しいフォント「メイリオ」の搭載と「MS明朝」、「MSゴシック」のバージョンアップ
1.「メイリオ」について
「メイリオ」は、Window Vistaに標準で搭載される表示用フォントで、他のWindows環境には提供されません。
日経BPの記事では、Windows Vistaで作成した文書を、XPなどのほかのOSで表示したときの文字化け問題を取り上げていますが、そのうち大部分(前述の303+25文字を除くもの)は文字の字形の変更によるものです。
現在のマルチフォントを使う文書作成ではフォントが違えば、文字の字形デザインは違うということが前提だと思います。
Microsoft は「Windowsの次期バージョンWindows Vista(TM)において日本語フォント環境を一新」(2005年7月29日)で、メイリオは「画面上での可読性を大幅に向上させるまったく新しいデザインのフォント(フォント名:メイリオ)」と発表していますし、極論すれば、Windows Vistaで「メイリオ」を指定した文書は、「メイリオ」以外のシステムフォントをもつ環境では、そのまま表字することができないのは、格別の問題にするにあたらないと考えても良いのではないでしょうか。
「メイリオ」を指定した文書を他の環境にもっていって同じ字形で表示したいのなら、フォントを埋め込むしかないでしょう。従って、「Windows Vistaの新文字セットが引き起こすトラブル」でいろいろ述べている「文字化け」議論は雑誌社特有のあおり文書じゃないか?と私は思ってしまうのです。
文字化けだけではなく、「メイリオ」のメトリックスと「MSゴシック」のメトリックスが、同じでないとすると、「メイリオ」を指定した文書を、「メイリオ」のない環境で、表字すると文書のレイアウト自体が変わってしまいます。そういうことからも「メイリオ」は、Windows Vista専用のものであり、他の環境と字形の交換はできないと考える方が妥当と思います。
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