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2006年11月12日

PDFのセキュリティ機能(2)—暗号辞書とセキュリティ・ハンドラ

さてPDFのセキュリティの方式について、もう少し調べてみます。

1.暗号辞書
PDFに暗号が掛かっているときは、PDFファイルのトレイラに暗号辞書が登録されます。昨日もお話しましたように、PDFを利用するときは、作成ソフトと消費ソフトが異なりますので、お互いに暗号の方式についての情報を交換する必要があり、この交換すべき情報を暗号辞書の内容に設定するようになっています。PDFにこの暗号辞書がないならば、暗号化されていないということを意味します。

2.セキュリティ・ハンドラ
暗号辞書には、セキュリティを処理する方法(セキュリティ・ハンドラ)についての情報を登録できるようになっています。セキュリティ・ハンドラとは、文字通りPDFに対するセキュリティを取り扱うプログラム・モジュールです。

PDF仕様に記載されているセキュリティ・ハンドラには、標準セキュリティ・ハンドラ(3.5.2)公開鍵セキュリティ・ハンドラ(3.5.3)が規定されています。また、それ以外の独自セキュリティ・ハンドラを使うこともできます。

昨日、パスワード方式と署名方式が使えると言いましたが、それぞれを取り扱うのが標準セキュリティ・ハンドラと、公開鍵セキュリティ・ハンドラに相当します。

3.標準セキュリティ・ハンドラ
パスワード方式で、PDFへのアクセス許可を設定可能とし、それを処理するものです。PDFの仕様では次の2種類のパスワードを設定することができるようになっています。

(1)オーナーパスワード—編集パスワードとも言い、PDFの内容を修正したり、データを取り出したりなどの制限事項を設定します。
(2)ユーザーパスワード—閲覧パスワードとも言い、PDFを表示して読むことができるための閲覧許可を与えます。

PDFを作成する人が、PDF作成時にパスワードを設定します。

もし、ユーザーパスワードが設定されていると、PDFを利用する人が正しいパスワードを入れないと、PDFを表示することができなくなります。

オーナーパスワードが設定されている場合は、パスワードを入力しなくても、制限事項に設定されている範囲でPDFを利用することができますが、それ以外の目的に利用するためには、正しいオーナーパスワードを入力することが求められます。

この制限事項は、セキュリティ・ハンドラのリビジョンによって、具体的に設定できることが違ってきますのでややこしいです。作成するPDFのバージョンによって、設定できる標準セキュリティ・ハンドラのリビジョンが決まってきます。そして、そのPDFを正しく閲覧・処理できるかは、Adobe ReaderなりPDFビューアが内蔵している標準セキュリティ・ハンドラのリビジョンで決まってくるわけです。

標準セキュリティ・ハンドラがなにをなすべきかはPDF Referenceに書いてありますが、あるソフトウエア製品がPDF1.6のパスワード方式セキュリティを正しく処理できるとは、PDF1.6仕様で規定する標準セキュリティ・ハンドラのリビジョン(の機能)を、その製品に実装していることを意味していることになります。

投稿者 koba : 2006年11月12日 08:00

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