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2006年11月13日

PDFのセキュリティ機能(3)—PDFの利用許可制御

さて、今日は、オーナーパスワード(編集パスワード)により設定できるPDFの利用許可制御について、PDF Referenceに記載されている内容を説明します。

PDF作成者は、PDFにオーナーパスワードを設定するとき、PDFを受け取ったユーザがPDFに対して何ができるかを許可できます。PDF利用許可の内容は、PDFに保存される暗号辞書中のフラグのある桁をONにすることで設定します。

標準のセキュリティ・ハンドラには、リビジョン番号2,3,4の3種類があります。PDF Reference 1.6の表3-20 (pp.99-100)に基づいてリビジョン2で設定できる項目を表1、リビジョン3と4で設定できる項目を表2に整理します。

表1.リビジョン2の標準セキュリティ・ハンドラで許可できること

ビット位置 ONの時許可
印刷を許可する
内容の変更を許可する
テキストや画像の抽出を許可する
テキスト注釈の追加・変更と対話式フォームフィールドを埋めることを許可する。ビット4がONならば、新しい対話式フォームフィールドを作成したり、変更することも許可する

表2.リビジョン3、4の標準セキュリティ・ハンドラで制限できること(*は、リビジョン3・4で、リビジョン2に追加されたこと)

ビット位置 ONの時許可
印刷許可する—さらにビット12がONなら高精度印刷を許可、OFFなら低解像度印刷を許可(*)
内容の修正を許可する
アクセシビリティ以外の目的でテキストや画像の抽出を許可する(*)
テキスト注釈の追加・変更と対話式フォームフィールドを埋めることを許可する。ビット4がONならば、新しい対話式フォームフィールドを作成したり、変更することも許可する
ビット6が不許可でも、署名を含め対話式フォームフィールドを埋めることを許可する(*)
10 アクセシビリティの目的(スクリーン・リーダなど)でテキストや画像の抽出を許可する(*)
11 ビット4(内容の修正)が不許可の時でも、文書の合成を許可する—ページ挿入・ページ回転・ページの削除・しおりの作成・サムネイルの作成(*)
12 高精度印刷を許可する

ちなみに、リビジョン2の標準セキュリティハンドラは40ビットの暗号方式、リビジョン3の標準セキュリティ・ハンドラは、PDFのバージョン1.4から使用可能になった128ビットの暗号方式です。また、バージョン1.5からはリビジョン4の標準セキュリティ・ハンドラが使用可能です。(これらについては、後日、もう少し詳しく説明します)。

ここで分かりますように、リビジョン3・4の標準セキュリティ・ハンドラの方が、リビジョン2よりも詳細な許可設定ができるようになっています。

【注意】上の説明は、あくまで仕様書で規定されている内容であることに注意してください。つまり、皆さんが日ごろご覧になっている実際のプログラムの動きとは違うかもしれない、ということです。すべてのプログラムが、仕様を上の通りに実装しているとは限らないからです。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック