« W3C Print Symposium 2006 (3) XSL-FOとCSSの互換性 | メイン | 『リッチテキストPDF2 D&D』を発売 »
2006年10月21日
W3C Print Symposium 2006 (4) XSL-WG
19日は終日、XSL-FOのサブ・ワーキングの会議がありました。この会議の内容は機密事項になっていますので、詳しいことを紹介できないのが、残念です。
日本からかなりのボリュームの提案資料を持参したのですが、18日の会議(XSL-FO 2.0へのリクエスト聴取)では配布を禁止されてしまい、その上、勝手に発言しては困ると口も封じられ、何度もシャロン女史と折衝して、漸くのことで「CSSとXSL-FOの互換性を達成すべき」という要求項目を一行だけ入れてよいと言われたのです。その代わり(??)19日は会議の時間のほとんどを割いて、われわれが用意した提案を聞いてもらえました。そんなわけで一緒に行ったM氏(私は前座で、技術的なところは、ほとんどM氏が説明)は18日は発言する機会を与えられず、しょげかえっていました。しかし、19日は丸1日ほとんど独り舞台で、5ページのサマリと21ページのレポートを全部説明せよ、という時間をもらいました。M氏は終わってから大満足の様子。ビールをおいしそうに飲んでいました。
どうも、私達の提案を18日の会議で取り上げると会議の予定が全部ぶち壊しになりかねないことを恐れたようです。
しかし、現在、XSL FormatterはXSL-FOの実装ではもっとも重要な存在です。私達が、今後は協力しないといえば、XSL-FOの仕様拡張も成り立たないことになりかねない、ということになります。標準仕様を実装するベンダがいなければ、標準仕様を作成する意味がなくなってしまいますから、両者の相互依存関係は非常に大きい訳です。
XSL-FOのワーキングの人達が口を揃えて言っているのは、第一に、最初のころCSSがルーズであったためにXSL-FOとして厳密な方法を取り入れなければならなかったこと、第二に、CSSはブラウザ向けで、テクニカル・ドキュメンテーションのために必要な機能をもっていなかったことです。
このために、XSL-FOはDSSSLに由来するエリアモデルを導入していて、CSSのボックスモデルとXSL-FOのエリアモデルは異なるものであり、CSSとXSL-FOを完全に互換にすることはできないということです。
また、XSL-FOとしてCSSと互換性を保とうとしても、CSS(2.1、3)はまだ勧告になっていないので、動くターゲットになってしまう。このため現時点ではXSL-FO側からCSSを採用することができない。一方において、CSS側がCSS3でXSL-FOの仕様と類似の機能を互換でないが、しかし、類似の方法で追加しているため混乱のもとになっています。
Webの議論では、Hakon Wium Lee氏がXSL-FOを攻撃しているのですが、実際に話してみますと、LeeさんはXSL-FOについてあまり知らないようで、CSSとXSL-FOの互換性については協力しても良いとおっしゃっていました。これに対して、シャロンさんが強硬反対ということでWebやメーリングリストを読んで予想した筋書きとはだいぶちがっていました。
さて、これをどういう方向にもっていくべきか?今後、考えねばならない課題です。
投稿者 koba : 2006年10月21日 08:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.antenna.co.jp/PDFTool/mt-tbng2.cgi/479